赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー性格・親のかかわり・育て方

性格・親のかかわり・育て方

Q. いたずらざかりの1歳7か月の息子に、たたいてしつけようとする夫。やめさせたいけど、どうすればいいでしょう? (2018.4)

  • (妊娠週数・月齢)1歳7か月

1歳7か月の息子と2か月の娘がいます。最近息子がいたずらざかりなのですが、この時期、それはしかたがないことだと思い、根気よくいたずらをしないように言い聞かせています。ところが夫は、「そんなことだから言うことを聞かないんだ」と、息子の頭や手足をたたいてしつけようとします。また、息子が泣くと「うるさい!」と怒鳴り、余計に泣かせるという悪循環をくりかえしています。たたいたり怒鳴ったりするのをやめさせたいのですが、私のせいで息子が言うことを聞かないと言われ、話を聞いてももらえません。どうしたらいいでしょうか?

回答者: 高橋惠子先生

 子どもの頭や身体をたたいたり怒鳴ったりするのは「しつけ」ではなく「虐待」です。虐待をしているおとなの多くは「しつけ」だという言い訳をします。あなたの夫もこの誤解をされていますので、直ちに、やめさせなくてはなりません。母親として、子どもを護るために、どうしてもやめさせるという堅い決心が必要です。

 小学生からは「学校教育法」という法律の11条で、体罰が明確に禁じられています。ところが乳幼児の場合には、家庭といういわば密室で、親の体罰がいまだに横行しているのです。ある調査によると、6割もの日本の親が体罰をしてもよいのではないかと答え、その人たちは「手の甲をたたく」「お尻をたたく」「頬を平手でたたく」などはよいのではないかとしているということです。たたいたり、怒鳴ったりすることは子どもの人権を侵害していますが、何よりも子どもの発達や幸せのために、少なくとも次の3点を問題にしなければなりません。

 第一に、体罰や厳しい叱責は虐待であると考えることが必要です。大きな身体のおとなにたたかれたり、怒鳴られたりすることは、子どもを恐怖におとしいれます。これはしつけではなく虐待に相当し、子どもの幸せを奪います。子どもが怖さゆえに虐待に耐えていると、親の罰はさらにエスカレートする傾向がありとても危険です。

 第二に、体罰や厳しい叱責は親子関係を悪くします。いつも怒る父親に子どもは恐れを抱くようになり、父親に愛着をもったり、親しみを感じたりしなくなります。そして、それを許している母親にも失望します。そのような親たちを子どもは嫌います。したがって、親子関係が健全には育ちません。

 第三に、上記のように「お尻をたたく」くらいならよいのではと考える日本の親は多いのですが、3歳でお尻をたたかれていた子どもほど、5歳で問題行動がみられたという報告があります。多くの研究は体罰が子どもの発達を妨害することを示しています。
 
 では、いたずらざかりの子どもにどう対処したらよいのでしょうか。
私は、根気よく言い聞かせるという投稿者の姿勢は正しいと思います。「何度言ってもわからない」と思うこともあるでしょうが、わかっていても間違うのはおとなでも同じですから、子どもにはくりかえし言い聞かせるしかありません。それでも言い聞かせる回数を減らすために、次の2点をおすすめします。

 第一は、失敗したこと、悪いことをしたことは、子どもでもわかっていますので、子どもの失敗をくどく言うのではなく、むしろ何かがうまくできたときに、「我慢したのね」「よくできたね」「ママもうれしい」と伝えると効果があると思います。

 第二には、幼い子どもが生活するのにふさわしいように環境を整えることが、よけいな親子の摩擦を減らす効果があると思います。例えば、子どもに触って欲しくないもの、危険なものは目につかないところに隠してしまうこと、また、子ども用のものを入れる箱や場所を決めて、そこは子どもの好きに任せること、などの工夫をしてみてはいかがでしょう。

 この回答をもとに夫婦で話し合っていただき、親子にもっと笑顔が増えることを願っています。