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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. 妊娠3か月。羊水検査について、詳しいことが知りたいです。 (2018.4)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠3か月 (8〜11週)

妊娠3か月の33歳です。今回の妊娠が初めてなのですが、羊水検査をしようと思っています。家庭の事情により赤ちゃんにダウン症などがあった場合、育てるのは難しい状態です。羊水検査ができる大学のホームページを見ると、身内に障害のある方がいる、35歳以上の初産、など条件があり、当てはまらない場合は検査できないと書いてありました。次の診察のときに血液検査と胎児スクリーニング検査を行います。羊水検査でわかることと、スクリーニング検査でわかることに違いはあるのでしょうか?

回答者: 安達知子先生

赤ちゃんが生まれる前、胎児に何かの異常があるのか、検査、診断することを出生前診断と言います。胎児の奇形、染色体異常や遺伝子異常などを主に診断します。奇形は、通常、超音波検査で調べますが、胎児奇形のすべてがわかるわけではありません。小さい奇形も入れると、赤ちゃんの50人に1人は異常を持っています。一方、染色体異常の99%は流産・死産するといわれていますが、21番目の染色体が3本ある(トリソミー)ダウン症候群は5〜6%が生まれて育っていきます。あまり大きな奇形を伴わないこともしばしばあります。

 羊水検査は妊娠16~17週くらいに行うことが多いですが、これは胎児由来の羊水細胞の染色体を分析するものです。羊水を採取することで、1/300くらいの確率で破水などがおこり、流産・死産に至ります。ダウン症候群の児を妊娠する確率は、女性の年齢が上昇するに伴い、増加します。35歳の女性が妊娠すると1/385くらいの確率でダウン症候群の児を妊娠しますので、一般的に35歳未満の女性に対しては流産リスクが大きいため羊水検査は勧められません。

 さて、現在33歳の女性の方が受ける血液検査とは、おそらく母体血清マーカーテストだと思います。胎盤などから産生される4種類の物質からダウン症候群の確率を割り出すものです。ほかに、18トリソミー、開放性神経管奇形の発症率が高いかについても判断できますが、その他の染色体異常や奇形の情報は得られません。また、これは確率が出るだけで、確定診断しているわけではありません。例えば、ダウン症候群の確率1/200という結果が出ても、33歳という年齢固定での出現頻度1/625に比較して高いとも言えますが、ダウン症候群でない確率が200人のうち199人とも読み替えることができます。この検査結果をどのように考えて、次の確定診断である羊水検査に進むのか否かを考えておく必要があります。なお、羊水検査はダウン症候群以外の染色体異常も診断できますが、奇形の診断はできません。

 また、超音波検査による染色体異常にかかわる胎児スクリーニング検査もあります。11~12週ごろに染色体異常と関係のある胎児の所見(胎児の後頸部の浮腫など)などから可能性が高いのかを判断します。これらスクリーニング検査でリスクが相対的に高いと考えた際の判断や羊水検査を受けるべきかなどについて、できれば産婦人科の遺伝相談や出生前診断学級などを受講して、あらかじめ考えておくことが勧められます。