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母乳とミルク・授乳

Q. 2か月の子がいますが、タバコがやめられません。母乳はあげない方がよいでしょうか? (2018.6)

  • (妊娠週数・月齢)2か月

主人の日ごろの行動や育児がストレスでタバコがやめられません。子どもは生後2か月です。妊娠中はつわりで自然とやめられたのですが、生まれたらひと安心してしまったのか、また吸い始めてしまいました。吸ってから時間をおいて母乳をあげるときもあれば、たまに、吸って間もないのにあげたりするときもあります。最近タバコが原因かはわかりませんが、子どもが咳き込む様子が見られるようになりました。また、タバコが突然死症候群の原因と知り不安に思っています。やめたいと思っても考えれば考えるほどストレスとなり吸いたくなります。どうしたらよいのでしょうか?タバコがやめられない場合は、完全ミルクにしてあげた方が、子どもにはよいのでしょうか?

回答者: 市川香織先生

 2か月のお子さんの子育て中とのこと。赤ちゃんの生活リズムはまだ安定しませんし、泣きも強まって、夜泣きする子も出てくる時期ですので、お母様の疲労や不安も増えるころですね。よく頑張っていらっしゃると思います。

 妊娠中にやめられていたタバコを再開したことで、赤ちゃんへの影響が気になっているのですね。

 確かに乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク因子として喫煙があげられますが、その影響は主に副流煙によるものと言われています。ですので、赤ちゃんが受動喫煙しない環境、すなわち赤ちゃんがいる部屋や赤ちゃんのそばで大人がタバコを吸わないことが大事な予防策です。受動喫煙がある場合、赤ちゃんは気管支の感染症になったり、ぜんそくになったりするリスクが高まりますが、母乳はこのリスクを下げてくれます。母乳は免疫物質も多く、受動喫煙の可能性がある赤ちゃんこそ、母乳の恩恵を受けるべきなのです。

 次に気になるのが、お母様が喫煙した場合、ニコチンなどの有害物質が母乳を介してどのくらい赤ちゃんに移行するのか、ニコチンが赤ちゃんに移行するくらいならいっそミルクにした方がよいのではないかということですよね。
 確かに、タバコを吸った直後の母乳からは、母体とほぼ同じくらいの濃度のニコチンが赤ちゃんへ移行するといわれます。ですから、喫煙直後の母乳は避けたいですね。お母様の体内のニコチン濃度が下がってくるのは1~2時間後以降ですので、喫煙してから2時間半~3時間空けて母乳をあげるようにしましょう。そこまでして母乳をあげるのはなぜかというと、ニコチンなどの有害物質から赤ちゃんを守るのも母乳だからです。
 できればタバコは吸わない方がよいというのは、言うまでもないことですが、吸うとしたら本数を減らして、授乳の時間に重ならないようにすること、赤ちゃんが受動喫煙しないように配慮することが大切です。なお、喫煙直後の息からも有害物質は出ますので、タバコを吸って30分くらいは赤ちゃんに近づかない方がベターです。

 しかし、実は一番気になるのは、あなたがタバコを吸いたくなってしまう原因が、ご主人の日ごろの行動や育児がストレスになっているという点です。ご主人はあまりあなたの意見を聞いてくれないのでしょうか。それともあなた自身が意見を言えないのでしょうか。子育ての時期は忙しいので、お互いゆっくり顔を合わせて話し合うこともむずかしいかもしれませんね。でも、思っていることを言えなかったり、不満をためこんでしまったりすると、これから先もっとストレスがたまってしまうことでしょう。できれば、ご主人にしてほしいこと、してほしくないことを話す機会を作り、互いに思っていることを十分に話しあうことをお勧めします。

 また、日々のストレスや不安を話せる友人がいれば、聞いてもらうのもいいでしょう。少しの間、赤ちゃんを預かってくれる親や友人、乳児一時預かりなどがあれば、そういったサービスを利用して自分の時間を作ることもいいでしょう。ストレスをため込まずに出せる環境を自分自身で自分に用意してあげましょう。
 赤ちゃんが成長すると、もう少し余裕も出て子育てが楽しいと思える時期がやってきます。今は先が見えず大変な時期でもありますので、周囲の助けを借りて、ストレスを少しでも減らすようにしていけるといいですね。