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性格・親のかかわり・育て方

Q. 3歳の息子に無償の愛を注ぐ祖父母がおらず、精神面に影響が出ないか心配です。 (2019.1)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

3歳7か月の息子には、無償の愛を注いでくれる祖父母がいません。私の両親と主人の父親は他界しており、義母は近所に住んではいますが、子どもと遊んでくれたことがありません。お友だちの優しい祖父母のような存在が自分にはいないことを寂しく思っているようです。「天国のおじいちゃん、おばあちゃんはこんな風に言ってると思うよ」などと話し、身近な存在として感じさせるようにはしています。近所にかわいがってくれるおじいちゃんおばあちゃんがいないか探しており、市の保健センターでも相談しましたが、いなさそうです。息子に愛情を注いでくれるのは、私の独身の姉とその親友のみ。息子は彼女たちに会うととても喜び、別れた後は寂しがって、次にいつ会えるのか毎日のように聞いてきます。このような環境で育つ子どもに、精神面でよくない影響が出ないか、とても心配です。

回答者: 高橋惠子先生

 まず、“無償の愛”とはどのような愛なのかを考えてみましょう。心を扱う臨床心理学者として多くの人の尊敬を集めている米国のカール・ロジャーズは、“無条件の思いやり”が人間には必要だとしました。私は、これが無償の愛にあたるのではないかと思います。

 おとなは、子どもの成長を願うがゆえに、つい「○○したら、愛してあげる」「○○する子は、嫌いよ」などと、何らかの条件をつけ、それをクリアしたら愛してあげようと考えたり、子どもにそう伝えがちです。このような条件をいろいろつけずに、“子どもの存在”そのものを肯定的に受け入れるのが、“無償の愛”だといえるでしょう。つまり、欠点も含めて子どもの存在を認め、尊い存在、有難い存在だと思えれば、それが“無償の愛”だと考えます。

 質問者がこのような“無償の愛”は「祖父母が注ぐもの」と考えるのはなぜでしょう。これは、質問者の勘違いです。すでに亡くなったご両親への思いが、そうさせているのかもしれません。前述のような愛情を“無償の愛”だとすれば、真に“無償の愛”を注げるのは、主として両親や親代わりの養育者である場合が多いでしょう。

 子どもの人間関係を調べてみますと、“無償の愛”を注ぐ人は1、2名あれば、子どもには十分なのです。成長している子どもが求めているのは、たとえ乳幼児でも、いろいろなつき合いをするさまざまな種類の人々です。たとえば、一緒に遊ぶ人、外で一緒に運動をする人、散歩や外出に連れ出してくれる人、ゲームをしたり、教えてくれたりする人などです。質問者のお子さんは3歳7か月だということですから、一緒に遊んだり、ゲームをしたりして楽しいのは、おとなではなく子ども仲間であるはずです。親や叔母さんやその親友では子ども仲間の代わりにはなれませんし、代わりになってはいけません。おとなと子ども、子どもと子どもではつき合い方がまったく違うからです。お子さんの人間関係にこのような広がりがあるかを点検してみましょう。

 “無償の愛”は子どもにとって重要ですが、うっかりするとそれで子どもを束縛したり、ただ甘やかすだけになったりしがちです。それでは、子どもが成長できません。“無償の愛”を与える人は子どもにとっては安全地帯のようなものです。安全地帯は、子どもがそこから勇気をもらって(つまり、いざというときには、助けてくれるから大丈夫だと信じて)、自ら冒険にのりだす基地だと考えるとよいでしょう。