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妊娠中の気がかり(タバコ・アルコール・薬・レントゲンなど)

Q. 4か月の子です。母親の喫煙によるリスクを教えてください。 (2019.3)

  • (妊娠週数・月齢)4か月

母乳で4か月の子を育てています。妊娠中からいままで、タバコ(加熱式タバコ)を吸い続けていました。けれども、子どもに数々の悪影響があるということを知り、喫煙していたことを後悔して禁煙しようと思っています。いままで吸っていたことで、子どもにはどのようなリスクがあるのでしょうか?禁煙すれば、いまからでもそのリスクは減らせるでしょうか?

回答者: 横田俊一郎先生

 まず言えることは、禁煙するのに遅すぎるということはないということです。思い立ってすぐに禁煙すれば、その後の子どもへの悪影響はなくすことができますので、ぜひ早く禁煙してください。

 妊娠中の母親の喫煙が胎児に及ぼす影響については、たくさんのデータがあります。日本産婦人科医会のホームページには、タバコの煙にはニコチン、一酸化炭素、シアン化合物、鉛などが含まれていて、胎児に対する毒性とともに血管収縮作用を有すると書かれています。その結果、妊娠中の喫煙により子宮内胎児発育遅延がおき、一般に母が喫煙していると出生時体重が軽くなると言われています。また流産、早産、前置胎盤、胎盤早期剥離などの異常も増加し、早産率は喫煙本数と明らかな相関があります。

 妊娠早期に禁煙した場合の出生時体重はほぼ正常であり、また早産率も減少するので、喫煙習慣があるなかで妊娠が判明した場合には、すぐに禁煙することが大切です。間接喫煙でも、一般には一日1~5本程度の喫煙効果があるといわれているので注意が必要です。また、妊娠中の喫煙により口唇・口蓋裂の発生率がやや増加するとの報告があり、生後の発達スコアの低下を認めたとの報告もあって、子どもの神経発達に障害を引き起こす可能性も示されています。

 出生後、授乳中の母親が喫煙していると母乳中からはニコチンが検出されますので、喫煙が多いとニコチン中毒と同じ症状を引き起こす危険があります。また、両親からの受動喫煙によってさまざまな問題が起こることがわかっています。乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを2〜3倍高め、肺炎や気管支炎、中耳炎、気管支喘息を1.5〜2倍増やす影響があることなどが示されています。

 加熱式タバコが、従来の燃焼式タバコと健康に対する影響にどの程度の差があるかは、まだはっきりわかっていません。燃焼しないので一酸化炭素の量は減りますが、ニコチンについてはほぼ同じ量の製品もあることが示されています。健康に対する正確な影響がわかるのには10年以上の時間がかかるかもしれません。「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解」には次のように書かれています。

1. 非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は、健康に悪影響がもたらされる可能性がある。
2. 非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用が呼出したエアロゾルは周囲に拡散するため、受動吸引による健康被害が生じる可能性がある。従来の燃焼式タバコと同様に、すべての飲食店やバーを含む公共の場所、公共交通機関での使用は認められない。

 お母さんのいままでの喫煙の影響を取り除くことはできませんが、禁煙すればその先の影響はなくなります。いままでの喫煙を後悔しても何もできないので、まずはすぐに禁煙してください。また、同時に他の人からの受動喫煙を防ぐことも忘れずに行ってください。