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Q. 2歳半の娘と3か月の乳児。夫が子どもに優しく接しません。 (2019.10)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

 2歳半になる長女と3か月の赤ちゃんがいます。長女は父親に甘えようとせず、夫はそれを不満に思って怒ります。また、下の子も夫に抱かれると泣いてばかりで、夫は「自分がかかわっても意味がない」と言います。市の保健師さんに相談したところ、「お父さんからかまってもらえないということがあって、長女はそういう態度になるのではないか」と言われました。確かに夫は長女に対して少し優しさがないように思います。長女が遊んでほしいと寄っていっても「うるさい」と言ったり、「都合のいいときだけ来るな」とか「どけ!」など言って泣かせたりすることがあります。「もう少し優しくして」と言っても無自覚なのかこちらの思いが伝わらず、言い負かされてしまいます。私も少し疲れてしまい何も言えなくなってきました。どうすればいいでしょうか?

回答者: 帆足暁子先生

 あなたの夫が子どもに優しく接しない、ということ、とても難しい状況ですね。

 長女が父親に甘えようとせず、それを夫は不満に思っているのだけれど、長女は「遊んでほしい」と父親に寄って行っても遊んでもらえなかったり、泣かされたりしている。

 だからあなたは「長女に対して少し優しさがないように」思われるのですね。確かに、あなたの夫は長女の思いに応えていないように見えます。でも、あなたは夫がそのことを「無自覚」のような気がするのですね。

 あなたはきっと、長女に優しくしてほしいと思って夫に伝えたのに、あなたの思いが伝わらず、言い負かされて疲れてしまって何も言えなくなってきたのですね。それでも、何とかしたいと思って、こうして相談している。それが今のあなたの思いだと思います。

 夫に言い負かされた時、夫はあなたに何を言いたかったのでしょうか。理不尽だとしても、夫には夫の言い分があったのではないでしょうか。あなたの文面から夫の思いを理解しようとしてみました。「長女に甘えてもらいたい、甘えてくれないのは悲しい。こんなに自分には価値がないと思わせるようなことをしておいて、自分が遊んでほしい時だけ来るなんてずるい。」でしょうか。父親だけれど、愛されたいと求め続けている子どものように思います。もしかしたら、同じ様に、夫は育つ間に親や大人に愛されてこなかったのかもしれません。

 一方、2歳半になる長女はどういう思いでいるのでしょうか。きっと、父親のことは好き。一緒に遊んで楽しかったこともあるのだと思います。遊んでくれる時もあるから父親に寄って行く。でも、「うるさい」「都合のいいときだけ来るな」「どけ!」と言われることもあるので、どちらの父親が出てくるのかわからなくて、怖い気もします。ドキドキ不安な気持ち。安心して父親のそばにいられて、父親と一緒に遊びたい。父親に愛されることを求めているように思います。

 さて、大切なことは、あなたがどうしたいか、です。

 愛されることを求め続ける父親とその父親に愛されたいと願う長女、そして、3か月の赤ちゃん。

 父親の良き理解者になりますか? 長女を守る立場になりますか? それとも・・・?

 たぶん、父親が「父親」となっていくためには、自分の無自覚な部分を自覚できるように-傷ついていて愛されたいと願っている-自分を受け入れていく必要があると思います。このままだと、あなたの夫は自分と同じ様に愛されたいと思い続ける子ども-長女をつくってしまいます。そのことに気づいた時、あなたの夫はもっとつらい思いを抱えてしまうでしょう。だからこそ、自分の本当の気持ちを自覚して、自分で自分を受け入れてほしい。でも、それは、夫がそうしたい、と思うかどうかにかかっています。

 あなたが夫に「子ども達に甘えてほしいのに泣かれてしまったりするのはつらいよね」と話し、あなたが一番傷ついていること、傷ついたままでは同じ様に子どもを傷つけてしまうこと、それはあなたにとってもっと傷つくことになることを話して、「あなたがhappyになるために専門家に支えてもらう」ことを提案できたら、あなた方夫婦にとって一番良いと思います。すぐに行動に移せなくても、夫にはあなたが自分を理解しようとしてくれたことの安心感が得られるから。そして、気持ちが熟したらきっと行動に移せる。

 もし、あなたが長女を守る立場になるとしたら、あなたが疲れて何も言えなくなったことからわかるように、今の状況では難しいです。一方、「長女」と父親が抱っこをすると泣いてしまう「3か月の子ども」は、今のままの「父親」と一緒にいて「うるさい」と言われたり泣かされたりすることで、自分達が愛されていないと感じて、心だけではなく脳も傷ついていきます。子ども達の幸せを考えると、早急に環境を変える必要があります。

 あなたの担当の保健師や子ども家庭支援センター、保育所等に相談して、一時保育を利用したり、保育所入所を考えたり、乳児院のショートスティを利用して、二人だけの時間を作ったりしてみませんか。家庭以外の子育て支援環境を利用することは、最初はお子さんも緊張すると思いますが、専門家がお子さん達の安全感と安心感を保障してくれるので、次第にお子さん達も安定していきます。親以外の大人に愛される体験は子ども達の生きる力を育みます。

 そして、何よりも、夫と子どものことを心配して相談されるあなたを支えてくれる専門家も探しましょう。夫のことも子育てもひとりで考えなくて大丈夫。今の時代、心配なことはどんどん子育て支援をしている専門家に支えてもらいましょう。そして、あなたご自身の幸せを考えましょう。それが一番大切なのです。