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ママ・パパの気持ち

Q. 自分の人生の後悔がつきまとって育児をするのが苦しいです。 (2019.11)

  • (妊娠週数・月齢)産後

私は、親に大切にされて育ちましたが、親の思い通りに生きなければと、どこかで息苦しく思っていました。子どもを産んだのも、早く親に孫の顔を見せてあげたいという思いから。出産して、ようやく自分のための人生がスタートした気になったのですが、今度は子どものための人生がスタートしていることに気づき、「私の人生はなんなんだろう」とイライラすることが増えました。子どものことはかわいいのですが、たくさん褒めて大切に育てると、自分の様に生きづらくなるのでは?と思い、やさしくできず怒鳴ってしまったりすることがあります。大切に優しくして育てたほうがいいとは思っているのですが、自分の人生の後悔がつきまとって育児が苦しいです。この考えから抜け出すには、どうすればよいでしょうか?

回答者: 帆足暁子先生

 苦しいですね。

 子ども時代は親のために生き、ようやく自分のための人生がスタートしたと思ったら、今度は子どものために生きる。「私の人生はなんなんだろう」とあなたが思うのは当然のことです。

 では、どのようにすれば自分の人生の後悔の苦しさから抜け出すことができるでしょうか。

 ここでは、あなたのイライラすることが増えたことと、育児の苦しさを分けて考えたいと思います。

 あなたのイライラはあなたが自分の人生を生きたいのに生きられないことからくるイライラだと思います。ですから、イライラを減らすにはあなたが自分の人生を生きることができれば良いのです。残念ながら、あなたのこれまでの人生の後悔は、過去のことで変えることはできません。でも、これからの人生を自分の人生として生きていくことはできます。つまり、「子どものための人生がスタート」としていますが、それを変えましょう。

 「自分の人生を生きる」ために必要なこと。それは、あなたが自分の人生を生きていると思える時に気づくことです。どういう時に自分の人生を実感できますか。これがわかることが、自分の人生を生きるためのスタートになります。今日、自分で考えて自分で判断して行動したことは何でしたか。意外と「私は子どもと遊びたい」「私は子どもの食事を作りたい」ということが、「あなたの人生を生きる」ということだったりするかもしれません。

 さて、あなたの育児の苦しさは「子どものことはかわいいのに、たくさん褒めて大切に育てると、自分の様に生きづらくなるのでは?と思い、やさしくできず怒鳴ってしまったりする」ことにあります。そこにはあなたの「たくさん褒めて大切に育てられたら生きづらくなる」という思いが関係しています。実はこの理論は間違っています。「大切に育てられたら幸せになる」が正しいです。ですから、あなたは子どもにやさしくしてあげて大丈夫です。

 「大切にされる」ということは、「ありのままの自分を大切にされる」ということです。どんな自分であっても親に大切にされるということです。子どもは親が好きですから、親の期待に応えたいと思います。つまり、親の思い通りになる子どもになろうとしてしまいます。子どもを大切にする親は、そのことに気づき、「あなたはあなたのままでいいのよ。親の思い通りに生きる必要はないのよ」と、ありのままの自分でいる大切さを子どもに教えます。

 あなたがお子さんを「大切に」育てたいという時に、「大切にする」ということの意味を正しく理解してほしいのです。「ありのままの自分でいられることを大切」にされて、生きづらくなる子どもはいません。

 あなたは子どもがかわいいと思っておられますから、子どものどんな姿もかわいいと思って大切にしてあげて育児をしていけば苦しくない育児ができると思います。駄々をこねてもそれは成長の一コマですし、失敗ばかりして上手にできなくても、それは子どもが自分を成長させるチャンスですから。

 それから、「たくさん褒める」ことには注意が必要です。それは褒められるべきことがあるかどうかということです。例えばできなかったことを子どもが自分で努力してできるようになったとか、苦手なことにチャレンジしようとするとか、必ず褒める根拠が必要です。「すごいってことは、いままでできなかったことができるようになることだよ」と言った子どもがいます。

 あなたが自分の人生を幸せに生きていくためには、過去は過去として切り離し、これからの自分の人生を自分で生きようと決意していくことが大切です。子どもをかわいいと思えるあなたですから、そして、こういう悩みを発信できるあなたですから、大丈夫。

 それでも、苦しさから抜け出せない時には、子ども家庭支援センターや保健師等の専門家を頼りましょう。「自分でできることは自分でする。自分でできないことは人を頼る」というのが自主性の育っている人間の姿です。