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仕事と子育て

Q. 3歳9か月の子。保育園や託児所に行きたがりません。 (2019.12)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

シングルマザーで3歳9か月の子育てをしてます。私は派遣社員で夜勤の仕事をしています。夜は託児所、昼間は保育園に子どもをあずけていますが、子どもが託児所や保育園に行きたくないと大泣きして困っています。この間は無理やり保育園に連れて行きましたが、自転車から降りず、先生が来てどうにか登園させました。託児所に行きたくないと言って2時間以上泣き続けた日もあります。こういったとき、どう対処するのがいいのでしょうか。

回答者: 高橋惠子先生

 おとなでも会社や会合に出かけたくない日があることでしょう。できれば家で好きなように過ごしたいなと思うおとなも多いのではないでしょうか。それでもおとなは「仕事だから」とか「生活費を稼ぐためだ」とかと理由を見つけて、気持ちをふるいたたせて出かけているのだと思います。これが人間の自然な状態だと考えてみると、幼い子どもが保育園や託児所に行くことを納得するのは、やさしいことではないことに気づくでしょうか。つまり、通所・通園のデフォルト(当たり前の状態)は「行きたがらないこと」だ、行きたがらないのが普通だと考えてみてはどうでしょう。実際、大喜びで通所・通園している子どもは少ないのです。多くの子どもにとって、通所・通園は大変なことです。ですから、通所・通園をいやがる子どもを問題視したり、せめたりするのではなく、おとなは発想を変えて、どうしたら子どもが快く協力してくれるかを考えることが必要だと思います。それを考えるうえで大切だと思われる3点をあげてみます。

 第一に、通所・通園を嫌がる理由のひとつは、子どもにとって託児所や保育園が楽しくないせいではないかと考えてみましょう。

 日本では待機児童数を減らすためにと役所はあせりがちですので、残念ながら保育環境のよさが充分には保証されていないのが現状です。したがって、子どもが通所・通園を嫌がるときには、保育環境が子どもに合っているか検討することをお勧めします。

 すなわち、①保育の質がよいか(よいカリキュラムで保育が行われているか;保育士の人数は足りているか;保育士は笑顔が多く、子どもにやさしく、子どもの気持ちを受け容れているか;保育士は専門の教育を受けているか、経験が豊かか)、そして、②保育環境はよいか(保育室は清潔で、明るく、安全か;窓が開き、十分な広さがあるか;十分な玩具・教材があるか)を点検してください。

 子どもも保育士も楽しく過ごせる保育環境でなければ、子どもが通所・通園を嫌がるのは当然です。特に、おとなしい、気が小さい、神経質などの性質を持つ子どもは、保育環境の影響を受けやすいので、気をつけましょう。場合によっては、保育園や託児所を変わることが必要です。やっと探した園なので“贅沢はいえない”というのが日本の実情であることは充分承知のうえで、あえて環境の点検をお勧めします。保育環境の質についての親の評価や意見が、子どもの幸せのためには欠かせないのです。

 第二に、通所・通園時に、親子ともに時間の余裕を持つことを心がけてください。

 仕事に出かける親が忙しいのは事実ですが、時間ギリギリに、まるで“荷物のように”子どもを置いていくのはやめましょう。通園時には保育士と母親が楽しそうに言葉を交わしたり、時には、親が保育園や託児所に暫くとどまって、子どものようすを見ていたりすると、子どもはここにいてもいいなと安心します。しばらくすると「ママ、モウ、オシゴトイッテイイヨ」などと言ってくれるはずです。子どもには、親に大切に思われていることがわかること、そして、保育園はママも好きな場所なのだと納得すること、が重要です。

 第三に、子どもが「お母さんはお仕事が好きなのだ」と知ることが重要だと思います。

 働くお母さんは仕事が大切で、大好きなのだ、と伝えましょう。保育園に行きたくないといつも泣いていた2歳の男の子が、ある朝、「パパはおしごと」「ママもおしごと」「ユーちゃん(自分のこと)もおしごと」といって泣き止んで、それから通園できるようになったという報告があります。家族と同じお仕事を自分もするのだという幼児の決意です。つまり、子どもは子どもなりに、自分がおかれている状況を理解し納得すると、行動できるのです。こうして、子どもは働くお母さんの心強い味方になっていくのです。焦らずに子どもの成長に手を貸して欲しいと願います。