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性格・親のかかわり・育て方

Q. 1歳9か月の娘の母。叱るときに「ダメ」以外の言葉が出てきません。 (2020.1)

  • (妊娠週数・月齢)1歳7か月

自分が親から厳しくしつけられ、「ダメ」ばかり言われて育ったために、娘にはそのように接したくないと思っています。なので、「ダメ」以外の言葉を使おうと心がけているのですが、「ダメ」以外の言葉が出てこなくてつらいです。遊んでいるときなどはいいのですが、娘がやってはいけないことをしたときに、とっさにどのように声をかければよいのかわからず、言葉につまってしまいます。公園や保育園などでは、人目が気になり、ますます何も言えなくなってしまいます。そういうことが続くと私の中にストレスがたまるのか、突然怒りがおさまらなくなって、娘が言うことをきかないときにものすごく怒ってしまうことがあります。あとで「○○ちゃんは悪くないよ、ゴメンね」と伝えますが、怒りが抑えられない自分が本当にいやになります。頭では「~したほうがいいよ」などと言い換えればいいとわかってはいるのですが、なかなかうまくいきません。どのように心がけたらいいでしょうか?

回答者: 帆足暁子先生

 あなたはいろいろな思いを抱えて生きてこられたのですね。その分、つらかった思いは繰り返したくないと思われて、たくさん考えられて娘さんを育てていらっしゃる。「ダメ」と言う言葉は使いたくないけれど、代わる言葉が出てこない、ということは大きなストレスです。そして、わかっているのにできない自分に対する「自己否定」は、そういう事態を生じさせる子どもへの怒りにすり変わってしまい、さらにストレスがたまりがちです。

 あなたが、親ごさんから良い関わりをされてきたら、記憶の中から迷うことはなく娘さんへの関わり方を見つけられるけれど、そうではなかったから、あなたができなくて当然なのです。あなたがダメなのでも悪いのでもない。

 娘さんがやってはいけないことをしたとき、どう言葉をかけるかは、難しいです。瞬時にあなたの脳が判断をするので、記憶されている「ダメ」という言葉しか出てこないからです。その次の段階で思考が働き始めると、今度は「どう言葉をかけようか」と迷って、ますます何も言えなくなってしまいます。そして、さらに落ち着いてくると、本来あなたが頭で学習された「~したほうがいいよ」という言葉が出てきます。でも、時間が経ち過ぎて、その段階では役に立たないですね。

 あなたの考え方や方法は正しいです。でもそれでもあなたの役に立たないとしたら、違った方法で考えてみませんか。

 「ダメ」という言葉を使わないように、というあなたの考えは、あなたが「ダメ」ばかり言われて育ったからですね。もしかしたら、「ダメ」という言葉ではなくて、親ごさんがあなたに向ける「気持ち」の方がつらかったのかもしれません。「否定的に見られてばかりいたこと」があなたのいやなことだったとしたら、あなたは、娘さんを否定的に見なければいい、ということになります。

 あなたの文面からはあなたが娘さんを全否定されていないことが伝わってきます。あなたは、娘さんをものすごく怒ってしまったあとで「○○ちゃんは悪くないよ、ゴメンね」とちゃんと伝えているからです。あなたの親ごさんはあなたに謝ってくれましたか?

 大切なことは、やってはいけないことをしたとしても、そこにはきっと娘さんなりの「理由」があるはずなので、「どうして、そうしようとしたのか」娘さんの立場になって、娘さんを理解しようとする気持ちを持つことなのです。わからなければ、同じ人間として、娘さんに「どうしてそうしたの?」と聞いてみようとすることでもよいのです。最初からありのままの娘さんを否定せず、同じ人間として対等に尊重していく立場にいられれば、きっとあなたの思いは実現していくと思います。子どもの頃、あなたも「理由」を聞いてもらいたかったことがあったのではないでしょうか。

 娘さんは1歳9か月。第一反抗期に入っていますね。「自我」が強くなる、関わりの難しい時期です。自分がやりたいと思ったことは絶対にやってみたいし、やりたくないことは絶対にやりたくない、と自我を押し通すことが、第一反抗期の特徴です。「ダメ」と言いたくなることをたくさんしてくれます。でも、そうやって、「自分」を作り上げていきます。

 あなたはよくこれまでおひとりで考えて頑張ってこられましたね。「考える」ことと現実生活で「できる」ことは別もの。

 あなたを支えてくれる人を見つけませんか。あなたの気持ちを理解してくれる専門家で、定期的に一つひとつ具体的に一緒に考えてもらって、支えてもらうことも、時には良いと思います。一緒に子育てしてもらえる時代です。考えてみてください。