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ママ・パパの気持ち

Q. 予想外の妊娠。優先すべきことが何かで悩んでいます。 (2020.5)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠2か月 (4〜7週)

1歳と3歳の子がいます。夫も私も予想外に3人目の妊娠が判明、現在6週に入ったところで明後日病院に行く予定です。本来、新しい命の誕生を喜ぶところですが、わが家は現在、経済的に苦しい状況で、とても3人目を生み育てる状況ではありません。お互いの実家も遠く、夫は転職したばかりで私も来月から働き始め、子どもたちは保育園に通う予定です。子どもが2人とも大学まで行きたいと言えば通わせてあげたくて、私も働いて貯金してがんばろうと意気込んでいた矢先の妊娠でした。夫は現実的に考えて、いまいる2人の子をしっかり育て上げるべきだと言います。でも、私は上の子を授かる前に稽留流産して手術をしており、あのときの悲しみがいまでも忘れられません。健診で妊娠が確認されたとしても、おなかの子がいまいる2人の子のようにかわいくて仕方ないと思うと私は中絶を決断できません。怖いです。何を優先すべきなのか、ご助言をよろしくお願いいたします。

回答者: 帆足暁子先生

 いろいろな今の状況を考えられて迷われているのですね。
 経済的なこと、サポートしてくれる人のこと、これからの生活を現実的に考えたとき、迷われるのは当然だと思います。

 でも、その中で、気持ちがはっきりされているのは、あなたが「中絶を決断できない」ということなのではないでしょうか。そうだとしたら、そのあなたの気持ちを一番大切にすることが良いように思います。

 それは、あなたの中に上の子を授かる前の稽留流産の悲しみが残っているからです。もし、今回中絶されたら、あなたの悲しみがさらに増してしまう可能性が高いのではないでしょうか。

 現実と気持ちに分けて、どちらを優先して決めればよいかを考えたいと思います。

 生活は現実です。誰の目にも明らかで客観的です。経済的に苦しい状況やお互いの実家が遠いことなどです。それに対して、気持ちはその人それぞれの中にあり、誰にも見えない主観的なものです。あなたの夫が「(この現実の中で)今いる2人の子をしっかり育て上げるべきと思っている」こと、あなたが「(この現実の中でさえ)中絶を決断できない。怖い」と思っていること。つまり、気持ちは現実に付随して生じてきます。

 現実は客観的なので判断根拠で優先にされやすいですが、今の新型コロナ感染症の影響を考えると、判断根拠には不確かなことを示しています。自分の健康がいつ崩れるかさえわからなくなり、収束したら元の自分の生活状況に戻れるのかも危ぶまれています。

 つまり、現実を根拠に未来を判断することは客観的でかつ正解でありそうですが、実は不確かだということなのです。では、何を優先して判断すれば良いのでしょうか。

 それは、どのような現実であっても、前向きに受け入れる気持ちを持てるかどうか、です。

 もし、3人を育てるとして、あなたの夫が「経済的に苦しいけれど補助金をできるだけもらって3人の子をしっかり育てたい」と気持ちを変えられたら、3人の子育てをすれば良いですし、もし、2人を育てることになっても、あなたが「悲しみはあるけれど、その分2人をかわいがって育てたい」と気持ちが変わったとすれば、2人の子育てをすればよいのです。結果はどちらでもあり得ますし、どちらでも前向きに子育てができたら、きっと楽しく幸せになれるでしょう。

 つまり一番優先すべきは、あなたの気持ちなのです。そして、気持ちが整理できたら、あなたの夫とよく話をしてください。今の状況であれば、お互いに納得できる答えを見つけられると思います。

 一人で考えるのがつらかったり難しかったりすることもあると思います。
 そのときには、是非支援してくれる専門家を頼ってください。専門家はそのためにいるのですから。