赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー出産について

出産について

Q. 妊娠7週目。7㎝の子宮筋腫がありますが、里帰り出産しないほうがいいですか? (2020.6)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠2か月 (4〜7週)

現在妊娠7週目で、12月中旬に出産予定です。東京から地方へ里帰り出産を検討していますが、7cmの子宮筋腫が見つかりました。産婦人科のドクターからは、「検査や悪化した場合のことを考え、東京の大きめの病院で出産するほうがよい」と、強く言われています。新型コロナウイルスのこともあり、東京で妊娠・出産をするのに少し不安もあり、可能であれば里帰り出産をしたいと思っております。里帰りせずに東京で出産したほうがよいのでしょうか?

回答者: 安達知子先生

 子宮筋腫は30歳代後半の女性の4人に1人が持っている良性の子宮の腫瘍です。子宮の壁の中に発生する腫瘍ですが、できている場所や発育方向によって、過多月経、月経痛、下腹部痛、頻尿などの圧迫症状ほか、ほとんど無症状のものもあります。7cmというのはかなり大きい筋腫です。妊娠中は胎盤から産生される女性ホルモンによって、筋腫は7cmよりもさらに大きく成長します。ほとんど何ごともなく正常に経過して分娩する方もいますが、以下のリスクがあり、妊娠中に健診をされていない里帰り先の産科施設での分娩はあまりお勧めできません。どうしても里帰りされるのならば、周産期母子医療センターなどの高度医療のできる専門病院を選び、先方が勧める週数で帰省して健診をうけるか、少なくとも30週以前の早くから帰省されることをお勧めします。

 妊娠中は増大した子宮へ血流を送るために循環血液量も増え、胎児に酸素や栄養を送っていますが、大きな子宮筋腫に対しては酸素不足や血液循環が悪くなりやすく、筋腫が壊死に陥ることがあります。子宮筋腫が壊死になると腹痛や発熱などが起こり、切迫早産などになることもしばしばです。また、妊娠前に無症状のものであっても、妊娠とともに大きくなる子宮にさらに増大した子宮筋腫がありますので、筋腫の発生部位によっても異なりますが、周囲の臓器に圧迫症状をきたし、頻尿、下肢や骨盤の静脈をうっ滞させやすいため静脈瘤や生命の危険がある静脈血栓症を起こしやすくなります。

 また、妊娠後半期に入ると胃腸や横隔膜を圧迫しやすく、食欲不振・胸やけや、仰向けや横になると呼吸が苦しくなるようなこともあります。胎盤が子宮筋腫の上を覆うように付着すると胎児の発育が悪くなりますし、分娩時は胎児の向きや回旋が正常にならず、産道の通過障害をきたして帝王切開になる頻度も増します。帝王切開にせよ、通常の分娩にせよ当然、分娩時は出血が多くなり、種々の医学的対応が必要です。これらのことから、ハイリスク妊娠・分娩および新生児への対応を専門的に行える産科施設での分娩をお勧めします。