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出産について

Q. 43歳。第3子を希望していますが、リスクを考えて躊躇しています。 (2020.8)

高齢出産についての質問です。34歳で子宮筋腫の手術をし、36歳で第1子、40歳で第2子をいずれも帝王切開で出産しています。39歳で妊娠したときは12週で出血し、自然流産しました。主人は第3子を望んでおり、私も欲しい気持ちはありますが、現在私は43歳。高齢出産となるため、健康で無事に出産できるのかかなり不安です。もし妊娠したらダウン症の検査を受けるつもりでいますが、リスクはどのくらい高くなるのでしょうか? 母体、赤ちゃんそれぞれに、ほかにどのようなリスクがあるのでしょうか? また、いま妊娠すると、新型コロナウイルスの流行中での妊娠・出産になると思いますが、その点で普段と違うことはありますか? ちなみに、里帰り出産の予定はありません。

回答者: 安達知子先生

 すでに3回の手術をしていらっしゃいますので、次回妊娠されると4回目の手術になります。帝王切開自体が不可能というわけではありませんが、リスクとしては、帝王切開や子宮筋腫の摘出部位などで子宮壁が薄くなっている部分があり、妊娠中や特に陣痛発来した時点で子宮破裂が起こりうることや、分娩後の子宮収縮不全から出血が多くなる可能性があります。また、開腹する際の癒着剥離の操作や膀胱損傷の可能性、腹壁の筋肉のダメージなどから腹壁ヘルニアなどの可能性が高くなります。そのほか、予期せぬ手術合併症も起こりえます。高齢になりますので、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、さらに前置胎盤などになる可能性も高くなりますし、妊娠中あるいは帝王切開後の静脈血栓症のリスクも高くなります。何より、子育ては上のお子さんもいらっしゃるので、しんどいと思います。

 43歳という年齢では、自然妊娠する可能性は低く、仮に妊娠したとしても、50%は流産に至ります。ダウン症候群の可能性は40人に1人の頻度です。他にも、子どもの心奇形などの合併率も高くなります。体外受精などの高度不妊治療を行っても、生児を得られる可能性は3.1%といわれています。凍結胚が保存されている場合には、胚移植をして高齢妊娠をされる方もいらっしゃいますが、すでに2人のお子さんもいらっしゃるので、母体の健康を考えますとあまりお勧めではありません。

 新型コロナウイルスの流行中での妊娠・出産は、外出の自粛が勧められている中、むしろ高齢妊娠であることから妊婦健診は通常通りかそれ以上に受診が必要であり、さらにきめ細やかな健診時指導が必要になります。また、出産後の育児や赤ちゃんの定期健診・予防接種などは母体の身体への負担になります。家族が自宅にいることが多く、それなりにストレスや運動不足は起こります。過労などは新型コロナウイルス感染症のリスクとなります。

 これらのリスクを総合してご夫婦でよく話し合い、判断してください。