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Q. 1か月の子の父親。わが子が特別にかわいいとは思えず悩んでいます。 (2020.8)

  • (妊娠週数・月齢)1か月

生後1か月になる子どもがいますが、「愛おしい」と思えません。小さい赤ちゃんを見て感じる、一般的な「かわいい」という感情はありますが「自分の子どもだから特別にかわいい」とは思えないのです。かわいさよりも、グズったときや泣き叫ぶとき、わずらわしさの方を強く感じています。妻は、いつ、どんなに子どもがグズってもていねいに対応していますが、自分はすぐに余裕がなくなってしまいます。母親とは違い、妊娠・陣痛・出産などの大変さを直に体験していない分、親としての自覚がまだできていないだけなのでしょうか? 生まれる前の予想と現状とのギャップに悩んでいます。父親になったばかりだと、このような心情はよくあることなのでしょうか?

回答者: 帆足暁子先生

 生後1か月のお子さんの父親なのですね。「生まれる前の予想と現状とのギャップ」ということは、お子さんが生まれる前は「生まれたら、愛おしいと思う」ような気がしていたのでしょうか。「愛おしい」と思えないご自分に戸惑われていられるような気がします。

 子どもが生まれてどう感じるかは、実は人それぞれです。母親であっても父親であっても、自分の子どもという実感がわかずにかわいいと思えなかったり、あるいは、子どもは嫌いだと思っていたのに自分の子どもを抱いたとたんにかわいいと思えたり。

 確かに、母親の方が自分の体を通して体内に宿った子どもが成長することを実感する分、自分の子どもという思いは強いことが多いです。ですから、実感を伴わない父親が「自分の子ども」と感じるのは、案外難しいかもしれません。

 女性の誰もが持っている本能だと考えられてきた母性愛も、本能ではないことが研究からわかっています。母性愛は、子どもと生活をしながら育まれるものだそうです。そうしますと、父性愛も同じこと。お子さんに関わりながら育まれていくと考えても良いのではないでしょうか。

 母親は子どもが泣くと世話をすることが自然にできるように見えます。それはかつて自分が子どもだった頃に見てきた母親の姿の記憶だったり、無意識ですが自分の役割という自覚があるからです。日本は、女性に対して母親は子どもをかわいがり世話をする役割という社会認識がありますから、一般的には、女性として生まれてから母親になるまでの期間に、そうなるべき環境の中で育ちます。
 でも、男性は、父親が子育てをすると「イクメン」と特別視されるように、未だ日本において、子育てに携わる父親の役割は一般化されない環境の中で育つことになります。子どもが泣いたとき、わずらわしさを感じるのは、どうしてよいかわからない状況に対する不安から生じているのかもしれません。

 お子さんは生後1か月。まだまだお子さんに携わる時間は少ないでしょうし、お子さんも親を意識してやり取りをするには早い時期です。ですから、愛おしくなれなくても、不思議ではないように思います。

 いまは、ご自分にギャップを感じられるかもしれません。でも、大切なことは、いまは愛おしいと思えない自分がいるという事実の認識です。ありのままの自分の気持ちを自分で受け入れることから、関係はスタートします。母親と子どもの関わりを見たり、父親として子どもと関わったりしながら、ご自分の気持ちが変わっていくのか変わらないのか、みてください。どらちでもよいのです。どちらにしてもあなたにはそう思うだけの理由が必ずあります。

 もし、子どもに対するご自分の思いへの戸惑いが苦しくなったら、地域の担当の保健師や子ども家庭支援センターのスタッフ等にご相談されるのもよいと思います。