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ママ・パパの気持ち

Q. 実母から暴力を受けていました。母のようになるのではと危機感があります。 (2020.10)

  • (妊娠週数・月齢)1歳1か月

1歳1か月の息子を育てています。私は真面目な性格で、計画を立てて面倒なことは先に済ませておきたい性分で、仕事や家事などに上手な手抜きができません。しかし子育ては、私のやり方に見事に相反するものでした。子育てを通して自分と向き合うのが非常につらいです。おおらかでマイペースな友人は子育てを楽しんでおり、うらやましいと感じます。私が13歳のときに自殺した母は、兄や私に暴言を吐き、暴力を振るい、夫婦げんかもよくしていました。「あんな風になるものか」と誓っていたはずなのに、私は母に性格がよく似ているようで、感情のコントロールができません。息子に手を上げそうになったこともあり、母のようになってしまうことに危機感を感じています。車がないと何もできない田舎暮らしのため、運転のできない私は、カウセリングなどにはなかなか行けません。自分自身で強く変わりたいと思っています。「私は大丈夫。変われる!」とぶれずにいるにはどうすればいいでしょうか。どうすれば感情をコントロールできるのでしょうか。

回答者: 帆足暁子先生

 あなたはこれまでずっとがんばってこられたのですね。だから、いまのご自分があるのだと思います。
「私は大丈夫」とぶれずに、そして、感情のコントロールができるようになるにはどうしたらよいか、ということですね。

 まず、「私は大丈夫」とぶれずにいられることについて考えてみます。あなたはお母様と「性格がよく似ている」わけではありません。あなたが体験されたことが、あなたの脳に記憶されていて、それが自然に出てくるだけです。あなたとお母様が似ているからではありません。あなたは誰にもなりません。かけがえのないただひとりのあなたです。あなたは、あなたが変わりたいと思えば変わることができます。

 確かに、あなたが子どものころから経験されてきた記憶には強い影響力があります。でも、あなたはいま、日々新しい体験をしています。もし、お母様のようになりたくない、ということでしたら、毎日、お母様とあなたが違う点を見つけるようにします。夜に思い起こしてメモにしてもよいです。それを蓄積していき、不安になったときにはそのメモを読み返すようにします。そして、あなたの記憶にお母様と違うあなたの記憶を強く持って脳の記憶を上書き保存します。時間はかかるかもしれませんが、自分に自信を持つことができると思います。

 それから、感情のコントロールができるようになることについて考えます。あなたは、真面目な性格で計画を立て、手抜きができないということですね。実は、計画を立ててきちんと実行できる人は有能なのですが、その反面、計画通りにならないことには耐える力が弱い特徴があるのです。ですから、あなたが子育てという計画通りにならない状況に耐えられないのは仕方ありません。そして、同じように、子どもの育ちは計画通りになりません。このどうしようもない状況に向き合うには、捉え方を変えるしかありません。たとえば、お子さんを観察して脳をフル活動させて、お子さんのオーダーメイドの取説を考えてみる。失敗したらさらにバージョンを書き替える作業を繰り返す、というようにゲーム感覚にしてみると、気持ちが楽にいられるかもしれません。そのコツは、「北風と太陽」のイソップ寓話です。お子さんが自分からあなたの思うようになりたくなるにはどうしたらよいか、です。それにこの「捉え方を変える」ことができたときにはおまけがあります。これからずっと先、年齢を重ねたときにあなたにもいずれ訪れる自分が思い通りに動けなくなるときの練習でもあるのです。自分が自分を受け入れることが難しくなったとき、子育てを受け入れていくことがトレーニングになるのです。

 とはいっても、なかなかひとりでがんばるのは大変かもしれません。
 できればカウンセリングを定期的に受けながら、自分であることの整理ができればよいのですが、あなたの状況ではそれはできないことなのですね。ただ、このコロナ禍で、相談もオンラインで受けている機関が出てきました。Skypeやライン、Zoomを使ったものなど、ネットで調べることでカウンセリングを受けられる方法が見つかるかもしれません。

「自分自身で強く変わりたいと思っている」そういうあなたなら大丈夫。自分を信頼してください。