赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー性格・親のかかわり・育て方

性格・親のかかわり・育て方

Q. 5歳の息子にチック症状が。かかわり方について悩んでいます。 (2021.3)

  • (妊娠週数・月齢)5歳

5歳になる長男は、人見知りで新しい環境や新しいことに慣れるまで時間がかかるタイプです。1歳9か月のときに弟が生まれ、私自身が睡眠不足の日々でイライラしていたせいか、2歳になるころに瞬きをするチック症状が初めて現れました。私がかかわり方を改めると、瞬きは数週間で治まりました。ところが、その後も半年に1回くらいで現れては数週間続き、4歳半からは3か月に一度くらいで咳払いをするように。コロナ禍で行動が制限されるようになってからです。いつも通りに接していたつもりでも、緊張や不安感を抱かせていたのかと悲しくなり、今後も繰り返すのではと不安です。保育園では楽しく過ごしているようですが、お迎え後の車内や夕食中に咳払いがとくにひどく感じます。食事に時間がかかる子なので、「早く食べようよ」と急かしていたせいかもしれないと思い、最近は「ゆっくり食べられる分でいいからね」と言うようにしています。また、長男にも次男にも、お風呂などで2人きりになったときに「あなたは大切な存在よ」とゆっくり話すようにしています。長男は私がイライラしていると、私の頭をなでてくれたり場の空気を読んでお手伝いをしてくれたりします。私は普段は温厚ですが内向的で溜め込みやすく、スイッチが入ると怒鳴ってしまうこともあります。どのように自分の考え方を改め、長男とどうかかわっていくべきか悩んでいます。

回答者: 帆足暁子先生

 これからのあなたご自身の考え方の改め方と5歳になるご長男とのかかわりについてのご相談ですね。

 まず、お子さんのチック症状から考えたいと思います。
 弟が1歳9か月で生まれて、2歳になるころ、瞬きをするチック症状が初めて現れて、あなたがかかわり方を改めると、瞬きは数週間で治まったのですね。その後も半年に1回くらいのペースで現れて数週間続き、新型コロナウイルス対策で行動が制限されるようになった4歳半になってからは3か月に一度くらいのペースで咳払い症状が現れた、ということですね。
 これらのことから考えられるのは、1つは、お子さんは、不安になるなどのストレスが増えるとSOSとして、チック症状が出現しやすい特徴を持っているということです。確かにあなたがかかわり方を改めるとチック症状が消失したことから、2歳児のチックは弟が生まれたことに関連するものであった可能性は高いです。2つ目は、その後のチック症状は、たぶん、あなたのかかわり方によるものではなく、お子さんがコロナ禍にある社会の不安や緊張を感じたり、お子さんの5歳児としての集団生活の中での体験から来るストレスの可能性があります。つまり、お子さんのチックは、あなたとのかかわりから生じているのではなく、お子さんの成長過程でのストレスから生じるSOSの表現なのです。そう考えるとこれからもチック症状が繰り返される可能性はあります。でも、このチック症状があるから、お子さんのSOSに大人が気付き、お子さんのストレスを解消しようとかかわり、お子さんが安心できるようにサポートすることができているのです。
お子さんにとって、チック症状があることはメリットとも考えられます。

 次に、お子さんへのかかわり方を考えます。
 あなたのご相談からは、そのときのあなたの気持ちや、その結果としてのお子さんの状況に気付き、それを解消するためにあなたがとった手立てがきちんと一貫して書かれています。そして、お子さんは「私がイライラしていると、私の頭をなでてくれたり場の空気を読んでお手伝いをしてくれたり」するのですね。つまり、お子さんもあなたの気持ちや状況に気付き、あなたの思いを解消するための手立てを取っています。あなたがお子さんにそうしているからです。あなたはお子さんの行動のよいモデルになっているのです。子どもは大人にされたように行動します。あなたの優しい行動がお子さんの優しい気持ちを育んでいるのです。そう、いまのままのあなたのかかわり方でよいと思います。もちろん、あなたは「睡眠不足の日々でイライラ」「早く食べようよと急かし」「普段は温厚ですが内向的で溜め込みやすく、スイッチが入ると怒鳴って」しまいます。でも、完璧な人間なんていません。お子さんに真剣に向き合っていることが大切なのです。あなたにはそれができています。
それでも心配だとしたら不安の根源になっているのは、あなたがご自分に不安を抱えているのかもしれません。次にそれを考えてみます。

 「睡眠不足の日々でイライラ」したり、「普段は温厚ですが内向的で溜め込みやすく、スイッチが入ると怒鳴ってしまう」あなたです。あなたが「自分の考え方を改め」るということは、「そうならない自分でいられるために考え方を改めたい」という理解で宜しいでしょうか。
 例えば、「睡眠不足の日々でイライラ」するとしたら、睡眠不足にならないようにするということが一番実現可能です。その実現のためには誰にいつ協力してもらうか・・・と考えていくことができるかもしれません。その方が「睡眠不足の日々でもイライラしない」自分をつくるよりも近道です。
 それから「普段は温厚ですが内向的で溜め込みやすく、スイッチが入ると怒鳴ってしまう」ことについてです。あなたの文面からは、思いを溜め込むことでスイッチが入るように捉えられます。とするならば、溜め込まないようにすることが一番です。そうはいっても、これまで溜め込む習慣になっていると、そんなに簡単には変えることが難しかったりします。自分にできることとしては、ご自分の思いを溜め込まない体験を蓄積していくことです。それには、その思いを誰もいないところで、まずは言葉にして声に出してみることです。それに慣れてきたら、次のステップとして、安心できる信頼関係のある人の前で、声に出してみます。そうやってスモールステップで、溜め込まない自分を作っていきます。
 でも、いまのあなたの生き方はそうやってあなたを守ってきた部分があると思います。なぜ、それが必要だったのかを考えることも、自分の考え方を変えることにつながっていきます。

 自分で、やろうとしてもやり方がわからなかったり、不安になったりしたときには、自分だけでがんばろうとせずに、子ども家庭支援センターや保健センターなどの専門家に支えてもらいましょう。これだけご自分の状況を客観的に捉えることができているあなたです。大丈夫。自分を信頼して!