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歯とお口のケア

Q. 1歳半の娘の歯の生える順番が気になります。 (2021.7)

  • (妊娠週数・月齢)1歳6か月

1歳半になる娘の歯の生える順番が気になっています。娘は歯が生えるのが遅く、1歳になる少し前にようやく下の前歯が2本生えてきました。その後、上の歯もまん中の4本が生えました。最近、上と下の奥歯が生え始めていますが、まだ下のまん中2本の歯の両脇2本が生えていません。歯医者さんに連れて行って診てもらった方がよいのでしょうか? それとももう少し様子を見ていてよいでしょうか?

回答者: 井上美津子先生

 歯の生え始めが遅かったお子さん、今度は生える順番がご心配のようですね。上下の前歯(乳切歯)8本が生え揃う前に奥歯が生えてきたということですが、下の両脇の歯(乳側切歯)は、前歯では一番最後に生えてくる歯ですので、奥歯と順番が逆になる可能性もあります。ただ下の乳側切歯は、先天的に欠如したり、隣の歯とくっついて生えてくる癒合歯の発現率も高く、バリエーションの大きい歯種でもあります。急ぐ必要はありませんが、一度歯科受診して生え方を診てもらい、定期的にチェックしてもらったり、いろいろ相談に乗ってもらうとよいでしょう。

 乳歯、永久歯ともに、歯の生える時期や順番には子どもによって差(個体差)が見られるものです。ページ下部に日本小児歯科学会から発表された日本人小児の乳歯の萌出時期の最新のデータ(2018年)を示します。乳歯で最初に生えるのは下の真ん中の前歯(乳中切歯)で、平均的な萌出時期は生後6~7か月とされていますが、SD(標準偏差)が2か月くらいですので、±2SD以内を特に異常がないと考えると、生後3~11か月くらいに生えてくれば正常範囲内と考えられます。生える順番も、多くの子どもは下の乳中切歯から生え始めますが、上の乳中切歯から生え始める子どももいれば、ごく少数ですが乳側切歯から生え始める子どももいます。通常は、下の乳中切歯→上の乳中切歯→上の乳側切歯→下の乳側切歯と生えた後に上下の第一乳臼歯が生えてきますが、順番が多少入れ替わることも少なくありません。ご質問のお子さんは、前歯の萌出は遅めのようですが奥歯の萌出は平均的なようですので、下の乳側切歯と第一乳臼歯の順番が入れ替わった可能性もあると思われます。気になるのが生える順番だけでしたら、しばらく様子を見てもよろしいかと考えます。

 ただし、下の乳側切歯は歯数の異常なども起こりやすい歯種です。歯がもともと形成されない「先天欠如」は、乳歯では1%程度の発現率ですが、上下の乳側切歯に最も多く見られます。また、2本以上の歯が互いに癒合して形成された「癒合歯」は、乳歯では1~5%くらいの発現率ですが、下の前歯に多くみられ、乳中切歯・乳側切歯の癒合または乳側切歯・乳犬歯の癒合が多いことが報告されています。乳側切歯が乳犬歯と癒合している場合は、萌出時期が遅れて乳犬歯に近くなります。

 お子さんは1歳半ということですので、公的な歯科健診(1歳6か月児歯科健診)の際に歯科医師に相談してみてもいいと思いますが、その後の経過も見ていくことが望ましいので、かかりつけの歯科医院を見つけて定期的な歯科健診を受け、生え方の相談をしていくとよいでしょう。もし、エックス線写真などで先天欠如や癒合歯と診断された場合には、乳歯から永久歯への生え換わりの時期に問題が生じることもあり、永久歯では歯並びやかみ合わせについて検討する必要も出てくるので、継続的な管理が必要になると思われます。

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