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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. 妊娠7か月。足がよくつるようになりました。 (2021.8)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠7か月 (24〜27週)

妊娠7か月、まだ働いています。就寝中の明け方だったり、普通に歩いているときだったり、いろんなときにこむら返りが起こるようになりました。何か栄養が足りていないのでしょうか? 一度外で足がつったときは軽くてすぐに治ったのですが、もっとひどくつってしまったらと考えると、一人で外出するのが怖くなりました。妊娠中でも飲んでよい薬などはあるのでしょうか? 予防策や、つったときの対処法を教えてください。

回答者: 市川香織先生

 妊娠7か月で、足がよくつるようになったのですね。
 こむら返りは妊娠するとよく起こると言われている症状の一つです。とくに、妊娠末期、おなかが大きくなってくるとこむら返りも起こりやすくなると言われています。こむら返りはふくらはぎの筋肉がつることを言いますが、他にも足の裏や足の指、太ももなどにも起こります。

 妊婦さんは、妊娠によって大きくなった子宮が、足から戻ってくる静脈の流れを圧迫してしまうため、妊娠していないときに比べ足の血流が悪くなり、筋肉に血液が滞って足がつりやすくなるのです。血液の流れが悪くなることで、静脈瘤ができてしまうのも妊娠期の特徴です。さらに、妊娠に伴いホルモンの分泌が増えることも、血流が悪くなる一因となります。妊娠によって増えるプロゲステロンという女性ホルモンには、静脈の血管壁の緊張を低下させる働きがあるのです。そうすると血液の流れは悪くなります。さらに、妊娠が進むにつれて、赤ちゃんに必要な酸素や栄養を送り届けるため血液が少し薄くなります。血液が薄くなると浸透圧が下がるという現象が起き、血液が停滞しやすくなるのです。そこに、静脈が拡張して血液が心臓に戻りにくくなる状況が重なるので、妊婦さんは妊娠していないときに比べ足がつりやすくなるというわけです。

 こむら返りが起きた場合は、応急処置として患部を伸ばします。たとえば、爪先を上に向けてふくらはぎを伸ばす方法です。そのとき、手で足の指を持ち上げるのも効果的です。寝ているときにつった場合、これらの動作を寝たままではなく、立ち上がって少し歩くと治りやすいともいわれます。ポイントは、けいれんしている筋肉を伸ばすことです。
 また、水分不足になると足がつりやすくなると言われています。運動前や運動中、寝る前には、水分を十分とりましょう。

 血液の流れが悪くなることが原因と考えられますので、体を冷やさないようにすること、普段からこまめに体を動かすようにすること、水分不足にならないことが予防につながります。栄養素が足りないせいではないかとも思われがちですが、食事バランスがよほど崩れていない限り、栄養というよりも水分不足や運動不足、子宮が大きくなることに伴い下半身の血液循環が悪くなることが大きな原因でしょう。血行がよくなるように入浴などで足を温め、寝る前にふくらはぎを伸ばすようなストレッチをするのもよいでしょう。職場でも、体が冷えないようひざ掛けやレッグウォーマーなどで下半身を冷やさないよう工夫するとよいですね。また、睡眠を十分とって、疲れを解消することも大切です。

 また、こむら返りには、漢方薬の中で、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)が有効だという報告もあります。あまり頻繁に足がつる場合は、妊婦健診のときにかかりつけの産科医に相談してみましょう。