赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー出産について

出産について

Q. 稽留流産をしました。夫側も検査をすべきでしょうか? (2021.11)

29歳女性です。離婚経験のある35歳の男性と結婚し、この4月に稽留流産を経験しました。夫の前妻も、流産経験が1回あるようです。別々の女性との間ですが、夫に2度の流産経験があることが気になります。稽留流産は何が原因で起こるのでしょうか? 男性側に原因があるケースもありますか? 夫も何かしらの検査等が必要でしょうか? 今後、気をつけること等があれば教えてください。

回答者: 安達知子先生

 稽留流産とは、胎児を包む胎嚢や胎盤をつくる絨毛は子宮内に存在していますが、胎児は育っておらず、はじめから胎児が認められない、あるいは途中まで育って現在胎内死亡している状況で、出血や腹痛などのいわゆる流産徴候がないものをいいます。しばらくすると出血や腹痛が出現して流産開始となるものが多いですが、何日も症状がないまま過ぎて、子宮内の組織が増殖していく場合もあることから、通常は流産手術を行います。

 流産は妊娠された方の10~15%の頻度で起こり、多くは原因不明ですが、胚(受精卵)の染色体異常などの問題が多いといわれています。稽留流産も通常の流産も原因は同じです。受精卵の染色体異常は、配偶子(精子や卵子)に染色体異常が存在することもありますが、配偶子に異常はなく、受精卵になるときに、染色体異常の細胞になる可能性もあります。また、配偶子に染色体異常があったとしても、男性、女性本人の体には染色体異常はなく、精子や卵子を作る減数分裂の過程で染色体異常の配偶子ができることが多いといわれています。

 なお、卵子は排卵するのは通常1つで、この卵子に異常があると受精卵となっても流産します。一方、精子は1回の射精で1~3億くらい排出され、卵管の先端まで元気に運動できるものが選別されて卵子と受精することから、異常を持った精子が受精する確率は低いと考えられ、受精卵に異常があった際は、卵子側の要因が大きいとされます。

 したがって、男性本人が染色体異常を持つ可能性は極めて低いと考えられ、今回特別に夫に検査を行う必要はありませんが、強いて言うのならば、精液検査をして、精子の数や運動率、運動状況や奇形率を見るのはよいと思います。今後さらに流産を繰り返すようなことがあれば、夫婦ともに不育症に対する定型的な検査を行い、その際の検査の1つとして、夫婦で染色体検査をすることをお勧めします。