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産後のからだ

Q. 多嚢胞姓卵巣症候群でしたが、第二子を希望しています。 (2022.2)

  • (妊娠週数・月齢)産後

独身時代に、生理不順、不正出血、ネックレスサインなどで多嚢胞卵巣と診断され、カバサールなど数種類の薬を1年半ほど飲んでいました(妊娠希望の治療ではありません)。結婚したため、改めて妊娠希望での受診をしようと服用をやめた矢先に妊娠しました。胎盤が平均の倍ほどあり、私の体格に対して赤ちゃんが大きく、回旋異常になった以外は早産傾向もなく自然分娩で出産できました。半年ほどで生理が始まり、月経周期は子どもが2歳になったいまも平均50日ほどで不順です。産後1年のときに、引っ越し先の別の婦人科を受診しましたが、ネックレスサインは見られず、多嚢胞卵巣は改善したように思えるとのことでした。出産でネックレスサインが消えることはあるのでしょうか? また、その受診後1年経つので、また多嚢胞卵巣になっている可能性はありますでしょうか? いま34歳で第二子をと考えていますが、もともと多嚢胞卵巣の場合、再度妊娠できる可能性は低いのでしょうか。数種類ホルモン薬を試しましたが、薬の副作用がかなり強かったため不安があります。ちなみに以前は、高プロラクチン血症でもありました。

回答者: 安達知子先生

 多嚢胞性卵巣症候群とは、排卵周期を作るためのホルモン調節機序が障害されて、①月経周期の不整や無排卵、無月経などの症状、②卵巣の中に排卵しない小さい多数の卵胞(卵子を囲む袋)が並んでいる多嚢胞性卵巣(超音波検査でネックレスのように見える、ネックレスサインと呼ばれるのはそのうちの1つの所見です)、③血中ホルモン値の特異パターン、以上の3つを特徴とする症候群です。しばしば高プロラクチン血症を合併します。

 本症候群は放置すると、無月経や不正出血が起きやすく、排卵がないため黄体ホルモンが分泌されにくいことなどから、不妊症や将来子宮体がんになりやすいリスクを持つともいわれています。そのため、挙児希望がない場合は、定期的に黄体ホルモン製剤を補充するか、ピルのようなホルモン剤を服用していただき、定期的な月経を誘導します。挙児希望があれば、排卵調節の薬や合併する高プロラクチン血症の治療薬を服用して排卵を促します。

 ときどき自然に排卵しますので、そのときにちょうど性交があれば、妊娠することもありますが、不妊症になりやすいと言えます。ちょうどピルなどのホルモン治療を中止した時に短期間排卵しやすくなりますので、そのときに妊娠されたのだと思います。ネックレスサインは、出産後や排卵後の黄体形成期、あるいは排卵周期に入っていれば不明瞭になることもありますので、認めないこともあるかもしれません。なお、出産後半年して月経が自然に再開されているとのこと、多嚢胞性卵巣症候群が改善している可能性もあります。

 しかし、もともと多嚢胞性卵巣症候群になる体質を持っていれば、またそうなっているかもしれません。基礎体温を記録して、2相性のパターンをしめし排卵周期があるか否かを確認してください。無排卵周期や月経周期が極めて長い場合で妊娠を希望するときには、産婦人科でホルモン検査を受け、排卵を誘発する治療を受けてください。