家族関係・夫婦・ママ友
Q. 夫の前妻の子が受け入れられません。 (2022.3)
1歳の子がおり、第二子を出産予定です。夫には前妻との間に子どもがおり、毎週、子どもと会っていることを知っていて結婚しました。結婚後は、前妻との子が週1でわが家にお泊まりするように。私の子どもが生まれてからは、夜泣きもあって、お泊まりはやめてもらっています。夫からは、前妻との子どもを家族のように思ってほしいと言われていますが、私としては、会わずに済むならば会いたくありません。会っているときも、早く帰って欲しいと思ってしまいます。夫と子どもが会うことにはまったく反対していません。外で会うことや、私が出掛けるなどの提案をすると、「どうして子どもを受け入れてくれないのか、自分なら喜んで受け入れる」と言われました。前妻との間の子というだけで、嫉妬というか、他の友だちの子どものようにかわいいとは思えません。受け入れようと努力した時期もありましたが、虚無感というか何とも言えない気持ちになり、いまでは話をされるのも抵抗を覚えます。上の子が生まれ、さらにまたひとり生まれるという環境の変化から、私抜きで会ってほしいとの思いが強まっています。周りに同じような状況の人もおらず相談することもできません。気持ちにどう折り合いをつければよいのでしょうか。
回答者: 帆足暁子先生
難しい状況ですね。
あなたの夫は、一貫してあなたとの家庭に前妻の子どもを受け入れてほしいと思っているようです。あなたは、あなたの家庭には前妻の子どもを受け入れたくないと強く思うようになってきているようです。
あなたの気持ちは、はっきりしているのではないでしょうか。あなたと夫と二人の間に生まれた子ども(たち)の、「今の家庭」を大切にしたい。前妻の子どもは「過去の家庭」のこと。だから、あなたの「今の家庭」の中に「過去」が入り込まなければ、気にならない。でも、現状は「今の家庭」に「過去の家庭」が入り込んでくる。それが受け入れられない。
あなたが「過去の家庭」を受け入れられない理由が必ずあると思います。
「前妻との間の子というだけで嫉妬」するということでしたら、あなたとの「今の家庭」よりも、「過去の家庭」の方が夫にとっては大切にされているとあなたが思っているからかもしれません。なぜなら、「嫉妬」という感情は、自分の方が有利だと思っている人は抱かない感情だからです。もし、そうであれば、前妻の子どもと夫の何気ない言動や夫の言葉から、あなたが傷ついているということではないでしょうか。
文面からは、これまで、あなたが折り合いをつけようとして、前妻の子どものお泊りを受け入れたり、夫が子どもと外で会うことやあなたが「出掛ける」などの提案をがんばってされている様子がうかがえます。あなたの折り合いのつけ方ですね。でも、夫の「どうして子どもを受け入れてくれないのか、自分なら喜んで受け入れる」という言葉に、「いまでは話をされるのも抵抗を覚えます」という気持ちになっています。
あなたの気持ちがくじかれてしまったのは、何とかして夫と子どもの関係を受け入れようとして自分の気持ちに折り合いをつけようとするあなたに対して、あなたの気持ちを理解しようとせず、自分の気持ちに折り合いをつけようとしていない夫の気持ちに出会ってしまったからではないでしょうか。
では、なぜ、夫は折り合いをつけないくらい、あなたに「前妻の子どもを喜んで受け入れてほしい」のか、その理由は分かりますか?
あなたが気持ちに折り合いをつけるときに必要なことは、あなたと夫、お互いの気持ちをそれぞれ話して、お互いの思いを理解しようとする過程です。なぜあなたが受け入れられないのか、夫がなぜ受け入れてほしいのか、お互いの願いを正直に相手に伝えることです。
それには、受け入れることが良いこと、受け入れないことはダメなこと、という価値観は無用です。家庭は価値観ではなく、「理解しようとする」お互いを大切に思う気持ちで成り立っているからです。
夫が、あなたの「愛情深い母親の姿」を尊敬していて、前妻からはそれを得られない子どもに、「母親に愛される体験」をさせてあげたいと思っているのかもしれません。そうだとしたら、あなたはどう思いますか?
夫が「一番大切なのはあなたと子どもたち、今の家庭だよ」ときちんとあなたに伝えてくれて、いつ前妻の子どもに来てもらうかなどのスケジュールをあなたと一緒に決めてくれたら、それでもあなたは前妻の子どもに嫉妬を感じますか?
あなたが「一番大切なのはあなたよ」と夫に伝えたら、夫はどう思いますか?
カート・ヴォネガットというアメリカの作家の言葉を紹介します。「あなたがたがもし諍(いさか)いを起こしたときは、おたがいにこういってほしい。『どうか──、愛をちょっぴり少なめに、ありふれた親切をちょっぴり多めに』」(「スラップスティック」翻訳:浅倉久志)
結婚生活で折り合いをつけるとき、お互いに大切にしたい言葉です。
いかがでしょうか。