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性格・親のかかわり・育て方

Q. もうすぐ2歳の息子に毎日怒ってしまいます。 (2022.4)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

来月2歳になる息子がおり、もうすぐシングルマザーになる予定です。夫が家を出てから、24時間二人だけで過ごしています。穏やかな時間も多いのですが、イヤイヤ期でもあり、天真爛漫で猪突猛進の息子に手を焼いています。息子は毎日わざと危ないことや汚いこと(店で這いつくばったり)など、いけないとわかっていることをします。私がそれを注意したらエスカレート、最後には私にめちゃくちゃ怒られる、の繰り返しです。息子のだめな行動を制すると、私を蹴ったり髪を引っ張ったりしてきます。それでも2~3回息子を注意しますが、さらに行動がエスカレートしたときに、めちゃくちゃ怒ってしまいます。手をあげたりしたことはありません。最近は、物理的な制約や時間の制約、息子の力強く暴力的なところにイライラも増え、私に怒りのスイッチが入ってしまうと、口調がきつくなり、顔も怒ったまま戻れません。そんな私に、息子は「ごめんごめん」とか「お母さんこわい」とか言ったりして、こんな小さな子に何を言わせているんだと、毎日自己嫌悪しています。私に心に余裕があるときは息子の目を見て諭すように説明したり、代替案を提示したりできます。すると息子の行動もおさまるのですが、いつもそんな風に接することができません。このままでは子どもの心の成長や発達に悪影響を及ぼすでしょうか?

回答者: 高橋惠子先生

 「シングルマザー」という決断と「子どもの反抗期」という問題とが重なり、大変な時期だと感じておいででしょう。

 2、3歳児の反抗は、子どもの自己が順調に育っていることを示す証拠ですから、子どもが反抗を始めたら「めでたいこと」だと喜びましょう。そして、子どもには子どもの意図や理屈があって主張しているのですから、「何をいいたいのか」その内容や、そう主張する「理由」を知るという姿勢が、「反抗される人」には必要です。押さえつけようとしたり、無視したりするのでは、子どもの成長を妨害することになります。それでは、子どもは成長する意欲をなくすことでしょう。

 そこで、まず重要なことは、子どもは「自分にとって大切な人」にしか反抗しないことを知っておくことです。子どもは自分にとって大切な人に気持ちを訴えているのです。他の人のいうことは聞くのに私には反抗して・・・と多くのお母さんがこぼすのはそのせいです。反抗の対象にされている母親は、子どもに大切に思われていることを再認識しましょう。

 そして、子どもが反抗している状況をよく考えてみましょう。きっと、子どもの意図がわかるはずです。たとえば、投稿者の場合のように、子どもは“わざと危ないことや汚いこと”をすることが多いものです。これを心理学ではネガティヴ・アテンション・シーキング(negative attention seeking)と名づけています。わざわざ悪いことをして、愛する人の関心を自分に向けようとする行動をいいます。こうして、「自分の大切な人」に自分が愛されているかを確かめているのです。

 もしも、このような行動が頻繁に見られるのであれば、母親は「あなたは大切な子よ」と伝える必要があります。“大好きよ”“大切な子よ”などと言葉で伝え、時には、抱きしめましょう。そして、一緒に散歩をしたり、本を読んだりして、二人で楽しい時間を作ってください。こうして愛されていることがわかれば、子どもには親の嫌がることをわざわざする必要がなくなります。それでもなお、子どもが親の困るような行動、世間に迷惑がかかるようなことをするときには、「なぜ、ダメであるのか」を、言葉で粘り強く伝えなくてはなりません。大声で叱るのでは、どこがなぜ困った行動であるのかが子どもには理解できないからです。

 シングルマザーとして生きようという決断をされたよし、緊張しておいででしょう。もしもインターネットをされるのであれば、ネット上にはシングルマザーのさまざまな体験の声や支援団体の情報があります。よく吟味して使えば、きっと参考になることでしょう。よい仲間も見つかるでしょう。

 最後に、シングルマザーであるか否かにかかわらず、育児は家庭、家族だけに閉じこもってするのではなく、多くの人々の手ですることが大切であることをお伝えします。近年、アロマザリング(allomothering)が重視されるようになりました。アロとは“他に”という意味です。母親以外の人々を含めた育児が望ましいということです。その第一歩として、親子で使える公立の図書館、児童館、子どもセンター、あるいは、保育付きの講演会などを利用するのはいかがでしょう。きっと新しい出会いや気づきがあると思います。