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母乳とミルク・授乳

Q. 2歳の子。授乳をせがまれるのが苦痛です。 (2022.8)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳2か月になる子どもがいます。完全母乳で授乳をし、離乳もそこそこ順調に進み、いまでは普通に親と同じようなものを食べています。ところが、食後や寝る前はともかく、食事中にまで授乳をせがんできます。私自身は生理が再開して一年くらいです。全然、母乳が出ていないのにもかかわらず、おっぱいを吸われるのが苦痛で苦痛でたまりません。夫は、「まだまだ授乳してあげてよ」と言いますが、自分の苦痛を押し殺してでも、授乳を続けたほうがよいのでしょうか。

回答者: 市川香織先生

 2歳2か月で母乳を求めてくるお子様への対応について悩まれているのですね。これまで完全母乳で授乳し、すでに離乳食も進んで大人と同じような食事が食べられているということから、お子様が母乳を求めてくる理由は、栄養面での必要性ではなく、お母様とのスキンシップを求めてということですね。

 しかし、お母様にとっては授乳が苦痛で苦痛でたまらないとのこと。もしかすると、それは不快性射乳反射(D-MERディーマー)と呼ばれるからだの反応かもしれません。ディーマーは、「母乳育児中の母親の射乳反射の30~90秒前に、胃の不快感、不安、悲しみ、恐怖、気分の落ち込み、緊張、感情的な動揺、いらいら、絶望感、否定的な感情が現れ、射乳反射のたびに繰り返される不快症状」(日本助産師会・日本助産学会『乳腺炎ケアガイドライン2020』)です。授乳のときに働くホルモンの影響で、一時的に脳内のドーパミンが低下するためと言われていますが、はっきりとした理由はわかっていません。しかし、このような症状が出る授乳中の女性は、9%程度いるという報告もありますので、少なくない数の母親が授乳で不快感を感じているといえます。

 お子様にとって、母乳が栄養の中心であるうちは、ディーマーの症状とうまく付き合っていくことも必要かもしれません。しかし、2歳2か月まで十分母乳を飲ませてきたことを考えますと、お母様が不快な状態をがまんし続ける方がよくないことです。もし、ディーマーでなかったとしても、お母様が苦痛であることは事実ですので、卒乳の時期と考えてよろしいのではないでしょうか。

 お子様にとって必要なのは、愛情やそれを表すスキンシップです。2歳は自己主張が強い時期ですので、卒乳するのも一苦労かもしれません。食事中に母乳をせがまれるのは対応が大変ですよね。父親が一緒にいるときならば、父親にお子様を抱っこしてもらうなど対応してもらい、寝る前などは入眠儀式を決めてルーチン化していくなど、卒乳というゴールを決めたら、家族みんなで協力し合ってゴールを目指しましょう。

 また、卒乳について、地域で母乳育児支援を行っている助産師に相談しながら進めるのも心強いです。お子様への対応、母親の卒乳後のからだのことなど、個別に応じた相談ができますよ。心身ともに健やかに過ごしていけるとよいですね。