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性格・親のかかわり・育て方

Q. 3歳の息子が「ママは僕を捨てる」と言うようになりました。 (2023.3)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

3歳と1歳の子どもがいる専業主婦です。育児に息詰まることが増え、一時保育を利用するようになりました。子どもたちは私と離れるときは泣きますが、しばらくすると落ち着き、遊んでいるようです。おかげで、私もリラックスした時間を過ごせています。ところがある日、3歳の息子に「ママは僕を捨てる」と言われました。びっくりして「あなたはママの宝物、絶対に捨てない、大好き、愛してるよ」と何度も声がけしましたが、それでも「ママ、僕を捨てないで」「ママは僕を捨てるよ」と言い続けました。理由を聞くと「ママが買い物に行くから」とのことで、一時保育を利用することが原因のようでした。普段も、寝かしつけ中に「いつも怒ってごめん」「いつも泣いてごめんね」と言ってきたりします。私はその都度「あなたは何も悪くないよ」「悪いのはママよ」「ママはイライラするとうまくお話しできなくなる。でもイライラしているときもあなたのことが大好き」「怒ってるあなたも泣いてるあなたも大好き」と伝えています。
今回、「捨てる」の言葉が3歳の子から出てきたことで、どうしていいのかわからなくなりました。思えば、子どもたちと向き合えないとき、「あっちに行って」「ママはいま一人になりたいの」「イライラする」など、泣きながら強い口調で子どもたちに訴えたことが数回あります。普段も、余裕がなくなると、ため息をついたり、表情を曇らせたりと態度に出てしまいます。怒りや不安のコントロールを試みたり、夫に相談したりしますが対処できないことも多いです。私は小さいころ、母に愛されなくなることを恐れたり、母の機嫌が悪いのは自分のせい、母の機嫌をとる、といったことを無意識にしてきました。子どもにはそんな気持ちを抱かせないようにしようと思っていたのですが、私はひどい親になってしまったんだと、自分が空っぽになったようです。

回答者: 高橋惠子先生

 文面を拝見して、これはお母さん自身の問題だと思いました。おつらい状況であろうとお察しします。そのような母親のようすを見て、聡明な息子さんはまだ3歳児であるのに、「ママは僕を捨てるの?」「いつも泣いてごめんね」などということばで、母親の状態に不安を抱き心配しているのだと思います。このような心配は、子どもが大人にするべきことではありません。つまり、親子の間で“役割の逆転”が起こっています。これは改善が必要な状況です。

 「ママはあなたのことが大好きよ」ということばを子どもにかけることはとてもよいことで、大切なことです。子どもは親に“無条件”に愛される存在であるべきだからです。十分な愛情をもらうと、子どもは安心して生活し成長もできます。子どもが安心していること、笑顔がたくさん出るような楽しい日々であることが、成長にとってとても大切ですし、子どもにはそのような環境を整えてあげることが重要です。母親が不安定でイライラしたり、一人にして欲しいというようなようすを見せたり、そのような母親の状態を子どもに理解させようとすることは、やめなければなりません。そこで、このような状況から脱するための方法を提案してみます。以下の4つの方法を、できればすべて実行されると、きっとよい方向に進めると思います。検討してみてください。

 第一に、一時保育を利用されるのはとてもよいと思います。それは、子どもたちが家庭以外の社会、とくに、子ども仲間と遊ぶ体験ができるからです。子どもは子どもと遊ぶのが大好きで、これは発達にとっても大切です。したがって、一時保育を、「母親がリラックスするために」とだけ考えるのではなく、子どもにとってよい保育をしている場所かどうか─資格のある保育者がいるか、保育の方針はよいか、預かっている子どもの人数は適当かなど─をよく吟味して、利用する施設を選ぶことが大切です。よい環境であれば、それだけ子どもたちは家庭とは違う貴重な経験ができることになります。

 第二には、夫の支援をもっと受けることです。育児は母親の仕事だと抱え込まずに、状況をしっかり話し合い、家族の問題として分かち合ってもらう必要があると思います。

 第三には、人生100年時代の、あなた自身の人生を考えてみることです。もうしばらくは育児に力を注ぐとしても、子どもたちの手が離れるのは間もなくです。長いあなたの人生をどう生きるかについての準備をするのはいかがでしょう。趣味を深めるとか、将来のために勉強するなど、いろいろ考えられましょう。幸いなことに一時保育でご自分の時間がとれているのですから、早速、始めてはいかがでしょう。輝いている母親を見ることは、子どもたちにとっても嬉しいことでしょう。

 第四に、怒りや不安のコントロールには専門家(カウンセラー)の助言を受けることをお勧めします。日本ではカウンセリングを受けることを躊躇する人がまだ多いのですが、もっと気軽に利用するとよいと考えます。カウンセラーに気持ちを聞いてもらい話し合うと、問題が整理され気分が上向きになり、きっと前進できることでしょう。お住まいの地域の役所などの公的機関で紹介してもらうのもよいでしょう。あるいは、お近くに大学があれば、心理相談室を地域の人々に対して開いている場合があります。役所も大学もそれぞれホームページで調べられるはずです。