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歯とお口のケア

Q. 2歳の子。デンタルフロスを使ってもよいでしょうか? (2023.5)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

両親ともにむし歯予防のために糸ようじやデンタルフロスを使っています。子どもの歯みがきでもデンタルフロスなどを使えれば、しっかり歯垢を取り除けると思ったのですが、私の実母は「歯ぐきを痛めるし、そこまでしなくても虫歯にならない、かわいそうだ」といいます。デンタルフロスを使ったときにデメリットはあるでしょうか? もし、問題なければ、どれくらいの頻度で使えばいいでしょうか? 気をつけるべきポイントも教えていただきたいです。

回答者: 井上美津子先生

 歯ブラシが届きにくい歯と歯の間(隣接面)の汚れを取り除くためには、歯ブラシ以外の清掃用具が必要です。成人ばかりでなく、子どもでもデンタルフロスを使って清掃を行うことが推奨されます。

 最近の子どものむし歯は明らかに減少しており、とくに3歳以下の子どものむし歯の減少は顕著です。しかし乳歯が生え揃う3歳を過ぎると、乳歯の奥歯の隣接面むし歯が徐々に増えてきます。奥歯(第一乳臼歯、第二乳臼歯)の歯間部にたまった汚れ(プラーク)は歯ブラシでは除去しにくいため、デンタルフロスの使用が必要になります。

 乳歯の前歯に隙間がなかったり、歯と歯が重なっている叢生(そうせい)の子どもでは、甘味飲食物をとり始める2歳ごろから、上の前歯の隣接面むし歯が発生しやすくなります。むし歯予防のためには、前歯に隙間がない、または叢生の子どもでは2歳ごろから、それ以外の子どもでも3歳を過ぎたら、保護者によるデンタルフロスを用いた歯間部の清掃が望まれます。歯ブラシによる清掃に慣れてきてから、フロスを使い始めるといいでしょう。

 歯周病などの予防のためにデンタルフロスや歯間ブラシを使用することは、成人ではかなり一般化されてきていますが、幼児期でデンタルフロスを使用している割合は、10~20%程度といわれています。さらなる普及が必要かと思われます。

 デンタルフロスには、フロスを適当な長さに切って指に巻き付けたり輪にして使うものと、ホルダー付きのものがあります。保護者が子どもの口の中で操作する場合には、ホルダー付きの方が使いやすいでしょう。市販されているホルダー付きフロスにも、いろいろなタイプのものがあります。最近は子ども用のアーチの小さいものも増えているので、子どもの歯のサイズに合ったものを選ぶとよいでしょう。

 また、無理に力を入れて使うと歯肉を痛める心配がありますが、適切な使い方を覚えれば大丈夫です。フロスを歯間部に挿入するときは、前歯は前後に、奥歯は左右に、ノコギリを引くように細かく動かしながらゆっくりと歯面に沿わせて挿入します。無理やり押し込むと、子どもが痛がったり、歯肉を傷つけて出血してしまうこともあるので気をつけましょう。歯と歯肉の境目まで到達したら、今度は歯面に沿わせるように動かして汚れ(プラーク)を除去しながらフロスを出します。フロスが歯と歯の間に引っかかったり、ほつれたりする場合には、むし歯の可能性もありますので、歯科医師に相談しましょう。

 保護者の仕上げみがきのときに使うということで、できれば1日1回はフロスによる清掃を行うといいでしょう。5~6歳になると、子ども自身でも徐々にホルダー付きフロスを操作できるようになります。保護者が教えても、歯科医院で使い方の指導を受けてもいいと思います。効果的なむし歯予防のためには、歯ブラシとデンタルフロスによる清掃を習慣化していきましょう。