産後のからだ
Q. 産後3か月。出産時に切れた傷口がまだ痛み、臓器の脱出も心配です。 (2023.6)
- （妊娠週数・月齢）3か月
第1子を出産し、産後3か月がたちます。出産の際、会陰切開（正中切開）を行いましたが、肛門の横（体の右側）まで切れ、傷が深かったようで腟内部も縫合されました。「固い便は腟から出てくるおそれがあるから」と便薬2週間分（酸化マグネシウム）を処方されました。産後2週間が経過しても傷口の痛みが癒えず、引き続き便薬を飲み続けています。傷口は塞がりましたが現在も盛り上がっており、傷口付近を押すと内部が痛み、ふだんも内部の痛みと傷口のひきつれを感じます。そのため、切れ痔で処方されたゲンタマイシンを塗布しています。
産後2週間ごろに腟口に異物感があり、医師に見せたところ、膀胱でした。勧められた骨盤底筋体操をほぼ毎日実施しています（短い間隔で締める×100回、長い間隔で締める×10回程度）。腟口への異物感はいまでもたまに感じます。また、便意を感じると腟口の肛門に近い部分が物理的に盛り上がり、排便後には消失します。盛り上がる際は臓器が便に圧迫され、臓器が腟口に下がって出てきそうな感覚があります。このような痛み・症状はいつごろまで続くのでしょうか。臓器の位置が出産で変わったのでしょうか。便や臓器脱出の恐怖から便薬の服用を止められないのですが、まだ脱出が起きる可能性はありますか。性生活も、産後1か月健診で医師からは問題ないと言われましたが、症状の悪化が心配で避けています。また、次の妊娠の際のリスクや、事前に対策できることがあれば教えてください。
回答者: 安達知子先生
分娩時に会陰切開をされて、胎児は健康に出生され、まずは何よりでした。今回深い傷とのことですが、会陰切開をしなかった場合はさらにもっと複雑な深い裂傷が起こると考えられるため、切開されたのは、逆に直腸や肛門管の粘膜まで切れなかったこととなり、幸いでした。
通常産道の傷は、会陰と同時に腟壁も切れますので、腟壁縫合するのは普通のことです。また、便失禁はないようなので、深いところにある肛門挙筋や括約筋は切れていないか、上手に縫合修復されていると考えられます。表面の傷は癒えても、内側の縫合糸は分解吸収されるまでまだ時間がかかりますので、傷の周辺を押すと痛いような違和感はしばらくあります。腫れた感じもそのうち良くなると考えます。
なお、妊娠や分娩に伴い、骨盤底筋が弱くなっており、膀胱や腟壁の下垂、場合により子宮下垂が起きているようです。産褥体操、骨盤底筋体操をしつつ、便秘や腹圧をかけることを極力避けるようにしてください。そのため、必要ならば、緩下剤を使用してください。性生活は再開しても大丈夫です。月経が再開して女性ホルモンが産生してきますと、骨盤底筋も回復しやすくなります。すぐに妊娠しますと、子宮下垂は起こりやすくなります。担当医と相談してください。