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出産について

Q. Rhマイナスの1児の母。第2子妊娠に不安があります。 (2023.7)

第1子出産時の妊婦健診でRhマイナスと診断されました。夫はRhプラスで、第1子も検査したところRhプラスでした。すぐにというわけではありませんが、いずれは第2子を考えています。ただインターネットなどで検索すると、母親がRhマイナスで第1子がRhプラスだと、第2子は流産や死産の可能性が高くなったりするなどという記述があり、不安になっています。正しい情報を教えてください。

回答者: 安達知子先生

 通常の血液型は、ABO式とRh式で評価します。Rhはプラスとマイナスで表記しますが、これは主に、Rh (D)因子の有無を見ています。前回の妊婦健診時と分娩後に抗D免疫グロブリン抗体の注射をされていると思いますので、その後に流産などのエピソードがなければ、次回妊娠では同様の管理を行うことで、問題なく、心配ない経過になると考えます。

 ここではRh不適合妊娠について説明します。Rh不適合妊娠は、母がRh(-)、児がRh(+)のときの妊娠で生じます。Rh(D)因子は自分の両親から1つずつ因子を受け継ぎ、その組み合わせで、DD、Dd、ddの3種類が起こりえます。DDとDdはRh(+)、ddはRh(-)と判定します。母がRh(-)、父はRh(+)のときに、父はDDあるいはDdとなることから、こどもはDdかdd の組み合わせになります。生まれる子どもがddであれば、妊娠中にRh不適合にはなりません。しかし、DdですとRh(+)のため不適合妊娠になります。

 不適合妊娠中に胎児の赤血球が母体の循環に入ると、母体はRh(+)の赤血球に対しての抗体を作り(感作という)、抗体は胎盤を通って胎児の循環に入って、胎児の赤血球を壊します。そのため、胎児は高度の貧血となって、心不全や発育不全となり、胎内死亡や出生後重症黄疸などで脳に障害が残るリスクが高くなります。胎児の赤血球が母体循環に最も入りやすいタイミングは分娩時ですが、そのほか、自然流産、人工流産、異所性妊娠後、羊水検査や絨毛検査、胎位外回転術後、腹部打撲などでも起こりえます。また、頻度は極めて低いものの、正常妊娠中でも感作が起こる可能性はあります。

 管理としては、妊娠初期、28週前後と分娩直後に母の抗Rh(D)抗体陰性を確認し、妊娠28週前後に抗D免疫グロブリン抗体の投与、分娩後は児がRh(+)であれば72時間以内に母に免疫グロブリンを投与します。なお、もしも妊娠初期に抗Rh(D)抗体陽性であった場合は、かなりハイリスクとなり、周産期センターや大学病院などの専門機関での妊娠分娩管理が必要となります。