家族関係・夫婦・ママ友
Q. 携帯とゲームを手放さない夫。父親の自覚のなさにイライラします。 (2023.7)
- (妊娠週数・月齢)3歳
- (妊娠週数・月齢)5歳
共働きで、3歳と5歳の子を育てています。夫が携帯とゲームに依存するようす、父親としての自覚のなさにイライラします。食事中、入浴中ですら携帯を手放しません。子どもの面倒を見るように頼んでも、2人を自分のそばで遊ばせたりテレビを見させておいて、携帯かゲーム、しかも、暴力的なシーンのあるゲームを子どもの前でやっています。外出中も携帯ばかりで、何度も注意しましたが、そのときはやめても翌日にはまた・・・の繰り返しです。携帯やゲームに夢中で子どもにけがをさせるのではと心配で、夫に子どもを見てもらうのが不安です。私が仕事を休めないときは、できるだけ実母に預けています。また、夫は週末などにたった5分子どもと楽しそうに遊んだ動画や写真を限定公開ですがSNSに投稿し、実際はそうじゃないのに身内から「子ども思いのいいパパだね」と言われ、嫌な気持ちになります。根は真面目で、家事など頼んだことはそれなりにやりますし、子どもの世話をまったくしないわけでもないのですが、とにかく携帯とゲームへの依存がひどいです。週末、夫が一人でゆっくりできる時間も作っていますが、それでもダメです。携帯とゲームへの依存が異常だということに、自分で気づいてほしいです。どうしたらよいのでしょうか?
回答者: 帆足暁子先生
これまでいろいろ考えてこられましたね。それでも携帯とゲームへの依存が変わらないということ、そして、父親としての自覚のなさがあなたをイライラさせてしまうのですね。
「携帯とゲームへの依存が異常だということに、自分で気づいてほしい」とあなたが考えられたように、依存は自分で異常だと気づくことから変わっていきます。ところが、これが一番難しいようです。なぜなら、オンライン上の時間は脳の中だけで過ぎていくので、実感を伴いにくいからです。あなたが依存だと伝えても、あなたの夫は否定すると思います。ですから、依存に気づいてもらうには、一工夫が必要になります。それには、依存の時間を客観的にわかる形にすることが一つの方法です。
あなたは、あなたの夫があなたと一緒にいる時間を毎日計測します。そして、携帯やゲームをしている時間も計測します。そして、1週間くらい計測して、その結果を伝えます。そのままの時間数でもよいですが、家に居る時間を100として、依存の時間を比率で伝える方がわかりやすいと思います。1日の平均でも、1週間の合計でもどちらでも良いです。つまり、「見える化」することで、あなたの夫に家族といる時間のうち、どれだけの時間を携帯やゲームに費やしているかに気づいてもらうことが目的です。このやり方は意外と本人も驚くことが多いです。
あるいは、ゲーム依存の治療を先駆的に行ってきた独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターのHPでは依存度のスクリーニングテストができます。そのテストの得点で、依存の度合いを客観化することも出来ます。もし、治したい場合には、治療申し込みのアナウンスも載っています。
携帯やゲーム依存が治療対象となっているのは、本人の自覚や自分の力でコントロールすることが難しいことが分かっているからです。意志が弱いというような単純な問題ではありません。ゲーム障害では、脳に異常な反応が起き、依存状態から抜け出せなくなることがわかっています。日常生活に支障が出る病気です。依存の治療は家族からの依頼になることがほとんどですが、本人が治療したいと思わなければ治療の効果はありません。
それから、「父親としての自覚」についてです。「自覚」となると、意識の問題になりますから、これを育てるのは時間がかかるかもしれません。でも、携帯やゲーム依存の時間が少なくなると「父親としての時間」は増えていくと思います。あなたの夫は、「週末などにたった5分子どもと楽しそうに遊んだ動画や写真を限定公開ですがSNSに投稿」し、「根は真面目で、家事など頼んだことはそれなりにやりますし、子どもの世話をまったくしないわけでもない」からです。つまり、子どもとの時間を楽しんでいますし、あなたとパートナーとして役割を持つこともできています。依存の時間が少なくなれば、その分、父親としての時間を過ごしてくれるのではないかと期待できると思います。
そして、何より、夫の携帯やゲーム依存の生活の中で、あなたはちゃんと夫のそういう姿を認めています。これは素晴らしいことです。嫌なことがあるとそれしか見えなくなるのが人間の性です。でも、あなたは公平に客観的に捉える力を持っています。そのうえ、「週末、夫が一人でゆっくりできる時間も作っています」。そういうあなたですから、夫の携帯とゲーム依存を夫の問題とは切り離し、携帯とゲームの問題として、夫婦一緒に問題解決への道を模索されていくことができると思います。たぶん、あなたから注意されることで、夫も少しは依存に気付いているかもしれません。だからこそ、自分の問題として責められると、防衛本能が働いて、攻撃か逃避になってしまいます。これからの家族4人の生活が楽しく幸せなものになるために、という共通の目標に向かっていく姿勢があれば、きっと、あなたの夫も協力してくれると思います。
ひとりでは、迷うことが起きるかもしれません。そういうときはひとりで抱え込まずに、依存治療をしている機関や保健センターなどの専門家に相談をして、一緒に考えてもらってください。携帯とゲーム依存はいまや日本だけではなく、世界においても深刻な問題になってきていますから。