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Q. 生後6か月。ステロイド剤使用後、ほっぺが赤茶色になりました。 (2023.8)

  • (妊娠週数・月齢)6か月

生後6か月の子の顔に赤いプツプツができて受診したところ、ロコイド軟膏を処方されました。1日朝晩の2回塗るように言われ、塗りだして2日目できれいになったのですが、炎症が治っても1週間は塗り続けた方がよいとネットに書いてあったので塗り続けました。4日目くらいから、プツプツはなくなり肌質もツルツルになったのですが、ほっぺが赤茶色っぽくなりました。いまは使用をやめて、もともと使っていた白色ワセリンのみを使用していますが、ほっぺは赤茶色っぽくなったままです。これはステロイド剤の影響による赤みなのでしょうか?

回答者: 横田俊一郎先生

 ステロイド外用薬(合成副腎皮質ホルモン剤の入った塗り薬)の副作用を心配して受診する患者さんはいまも少なくありません。ステロイドには炎症を抑える作用があり、さまざまな病気に使われています。薬の種類には内服薬、外用薬、注射薬がありますが、今回は外用薬の副作用について説明します。

 ステロイド外用薬による全身性の副作用については、きわめて作用の強い薬を長期間広範囲に使ったときに起こることが知られていますが、通常の治療法で起こることはまずありません。一般的なステロイド外用薬の治療で起こる副作用は、薬を塗った部分だけに起こる局所性の副作用ということになります。

 どのようにして副作用が起こるのかを考えてみます。ステロイドには炎症を抑える作用がありますが、その作用の中には血管を収縮させる作用、細胞増殖を抑制する作用、免疫を抑制する作用などが含まれています。ステロイド外用薬を長期間使っていると、これらの作用が副作用として現れることがあるわけです。

 ステロイド外用薬を症状がなくなっても使い続けていると、皮膚の細胞増殖が抑制されて毛細血管が拡張してきます。そのため皮膚が薄くなる、赤みが出る、血管が浮き出て見える、などの症状が出ることがあります。また、局所の免疫が抑制されることによって、ニキビができやすくなる、真菌(カンジダや白癬)や単純ヘルペスなどの感染を起こしやすくなるということもあります。さらに、ステロイドには発毛作用があるので、塗っている部分が毛深くなるということもあります。

 以上が主な副作用ですが、通常の治療でこれらの副作用が出ることはほとんどないとされていて、また副作用が出ても使用を中止すれば改善することもわかっています。強い外用ステロイド剤が怖いと言われますが、炎症を抑えることができないような弱いステロイド外用薬を長期間にわたって使ったときに副作用がもっとも起こりやすいとされています。また、患者さんの年齢にも関係があり、ニキビができるという副作用は、小学生以下の子どもではほとんどないこともわかっています。

 ステロイド外用薬を塗っていると副作用で皮膚が黒くなるというのもよく心配されることです。しかし、これはステロイド外用薬の副作用ではなく、湿疹などが治まったあとに起こる炎症後の色素沈着だとされています。したがって、早めにきちんと治療し、炎症を早く改善したほうが色素沈着は起こりにくくなります。

 今回ご相談のお子さんは生後6か月で、ステロイド外用薬を1週間程度塗ってほっぺが赤茶色っぽくなってきたという経過です。顔が赤くなるという症状は長期間使い続けたときに起こるもので、ステロイド外用薬による副作用の可能性は大きくなさそうに思えます。また、前に述べたように湿疹そのものが治る過程で起こった色素沈着という可能性もあるかもしれません。

 いずれにせよ、皮膚科の専門医の診察を受けることをお勧めさせていただきます。近年、非ステロイドで免疫抑制作用のある外用薬が開発され使われるようになってきていますので、これらを使用するという方法もあります。いずれにしても専門医の指示に従って、きちんと薬を塗ることが大切です。