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気になる子どものようす

Q. 3歳の息子。失敗を恐れて萎縮しチック症も出てきました。 (2023.8)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

3歳6か月の息子はおしゃべりでいろんなことを話してくれるのですが、保育園から帰ってきて最初に話すのは「今日は怒られた(失敗した)」「今日は怒られなかった」という内容ばかりです。朝起きてひと言目は「保育園に行きたくない」であり、最近はチック症が出始め、「怒られた」と話す日はそれがよりひどくなる気がします。保育園も行けば楽しそうですし、先生の話と本人の話を聞く限り、必要以上に怒られているわけでもないようです。おもらしをしたり、何かをこぼしたときなどに固まってしまって自分から先生に伝えられなかった際に、「ちゃんと教えてね」と言われたことを、怒られたと思っているみたいです。「失敗した」と話すことは本当に些細なことで、息子だけができないわけではなく、できる子が少しでもいると、その子たちと比べてしまうようです。チックが出始めてからは、「先生は○○(息子)のことが大事だから注意してくれるんだよ」、「失敗はママもするし、がんばって失敗したのならかっこいいよ」、などと伝えており、そのときはうれしそうに「うん!」と答えます。けれども翌日になると、できないことはそもそもしない、失敗したら固まる子に戻ります。家では失敗してもそこまで落ち込むようすはないし、私が叱ることがあっても深刻にはなっていない気がします。周りと比べたり、できないことを非難したりばかにしたりするようなことは一切していなかったつもりですが、なぜこんなに気にしすぎてしまうのか、育て方が悪かったのかとも思ってしまいます。毎日の声かけで気をつけること、育て方、先生に伝えるべきことはありますか? そもそも保育園を休みたいと言ったときは、チックが落ち着くまでなどと決めて休ませた方がよいのでしょうか?

回答者: 高橋惠子先生

 質問を拝読し、お子さんが置かれている状況はきっとストレスが高いであろうと想像しました。お子さんは「いやだ!」という代わりに、チック症状で悲鳴を上げているのだと思います。それは、子どもさんの生活で「失敗」が大きなテーマにされているからです。保育園での子どもの報告が、「失敗」があったか、なかったか、というのは、好ましいこととは思えません。そこで、「失敗」について考えてみましょう。
 おとなでも「失敗」を話題にされるのはつらいことでしょう。まして子どもは、それを聞くしかない立場ですから、つらい状況になります。「失敗」を話題にしないことが重要だと考えます。
 なぜなら、幼児でも、自分が「失敗」したことは、それが引き起こした結果によって、よくわかるからです。しまったと思い、そして、時にはああすればよかった、などとわかっていることもありますので、「失敗」にさらに親が関わる必要はありません。「失敗はママもするし、がんばって失敗したのならかっこいいよ」などという表現によってでも、子どもの失敗を話題にするのはやめましょう。もしも「失敗」の結果が大きければ、一緒に後片づけをするだけで十分です。失敗しないようにこの機会に教えておこうなどという親心は、抑えてください。
 親の出番があるとすれば、それは子どもが「成功」したときです。しかし、その際にも、“ほめる”必要はありません。子どもは「成功」して喜んでいますので、その気持ちに共感するのがよいのです。「よくできたね」「すごいね」というように結果を評価することばは、実験して調べてみると、子どもに“成功しなくてはだめだ”という恐怖心を引き起こし、上手にできていた行動をやめてしまうことがわかりました。「成功」したときには、“ほめる”のではなく、どこがよくできたか、見ていて楽しかったなどと、具体的に言ってあげるのがよいとされています。
 親が正しいことを子どもに伝えたいと思うのは当然ですし、それは大切なことです。しかし、大切なことの伝達は、おそらく子どもが感情を高ぶらせている「失敗」や「成功」のときにではないと思います。親も子も冷静なときに、説明したり、やって見せたり、時には、アニメを一緒に見たり、本を読み聞かせしたりして、伝えるのがよいと思います。そして、親の生活を子どもが見ていることもあるでしょう。親が真剣に生きる姿を示すことも大切です。
 以上のような観点から、現在通園されている保育園の養育の方針も判断されてみてはいかがでしょう。しつけが厳しく、「失敗」したときがしつけの好機だと考えているようであれば、休園、あるいは、転園を考えるのもよいと思います。