妊娠中の気がかり(生活)
Q. 意図しない妊娠。プラスに考えるにはどうしたらよいでしょうか? (2023.9)
- (妊娠週数・月齢)妊娠6か月 (20〜23週)
妊娠してから毎日がつらいです。現在21週になりました。私は大学卒業後すぐに妊娠が判明し、就職内定先も辞退しました。もともと夫は子どもが欲しいとずっと言っていましたが、私は子どもを持つことに対してマイナスイメージしかありませんでした。夫は中国人なので、国際カップルの子どもは苦労するとしか思えません。加えて、子どものことや私たち2人のことに干渉する義両親のことが嫌いです。中国に行った際には、トラウマになるほど嫌なことを義両親からされました。
本当はおろしてしまいたかった。でもそんなことをしたら、夫は私のことが嫌になり、いままでのように接してくれなくなると本能的に感じました。口では「そんなことはない」と言っていましたが、信用できずにズルズルとここまで来てしまいました。
私は、周りの友人たちが大学院に進学したり、就職して社会との関わりを持ったりしていることが、とても羨ましくてたまらないのです。子どもがいたら自由は制限されるし、自分のやりたいことを諦めなければならないことも出てくるだろうし、本当によいことがなく、生まれてくる子どものことを重荷に感じてしまい、かわいいと思えないのです。
こんな最低な母親は、この世にいない方がよいのです。毎日、死ぬことばかり考えています。いまの生活や子どもが生まれてからの生活に対して、期待感がまったくありません。もう以前のように自由に生きる生活はできないのだなと思うと、本当につらいです。自分の責任とはいえ、こんな思いをするなら死んだ方がマシです。どうしたら子どものことをプラスに考えることができますか。
回答者: 帆足暁子先生
とても難しいご相談です。
なぜならあなたは今回のことをすべて否定しているのに、子どものことをプラスに考えることを願っているからです。
まずは、事実とあなたの思いに分けて考えましょう。
事実は、「妊娠21週」「大学卒業後すぐに妊娠が判明し、就職内定先も辞退した」です。
これは変えることができません。
次に、あなたのマイナスの思いについて一つひとつ考えてみましょう。
「子どもを持つことに対してマイナスイメージしかない」
これは妊娠する前から、あるいは、結婚する前からあなたがもっていたように思います。なぜでしょうか。
「国際カップルの子どもは苦労するとしか思えません」
これもマイナスイメージからのように思います。
「子どものことや私たち2人のことに干渉する義両親のことが嫌い」
これはあなたがトラウマになるくらいですから、あなたのマイナスの気持ちに大きく影響しています。ただ幸い、義両親は日本にいませんから会わないでいられます。もし日本に来るとしたら二者択一です。嫌いだから出かけて会わないようにするか、嫌いな感情は隠して我慢して会うことにするか、です。あなたは後悔しない選択を考えることができます。
「子どもをおろしたら夫は私のことが嫌になり、いままでのように接してくれなくなる」
あなたは夫に好きでいてもらいたいし、いままでのように接してほしいと願っているのですね。
「周りの友人たちが大学院に進学したり、就職して社会との関わりを持ったりしていることが、とても羨ましくてたまらない」
もしかしたら、周りの友人たちは、仕事につかず結婚して子どもをもつあなたがとてもうらやましくてたまらないと思っているかもしれません。でも、あなたがどうしても友人たちと同じような生き方のほうが良いと思うなら、後悔しない人生のために、あなたは社会に出ることを選択するのも、ありです。
「子どもがいたら自由は制限されるし、自分のやりたいことを諦めなければならないことも出てくるだろう」
そうですね。でも、諦めたくなければ、あなたはあなたの道を貫いてよいのです。その選択もあります。
「生まれてくる子どものことを重荷に感じてしまい、かわいいと思えない」
現実の子どもに向き合わなければ、母親本人にさえわからないように思います。ここにもあなたの子どもを持つことへのマイナスイメージが影響しているのではないでしょうか。
「こんな最低な母親は、この世にいない方がよいのです。毎日、死ぬことばかり考えています」
あなたは母親になることを前提として、「死ぬ」ことが解決策に思えています。でも、それは解決策ではないのです。なぜなら、あなたの好きな夫との関係も終わりにしてしまうからです。それはあなたの願いではないように思います。
「いまの生活や子どもが生まれてからの生活に対して、期待感がまったくありません」
「もう以前のように自由に生きる生活はできないのだなと思うと、本当につらい」
これもあなたの、子どもを持つことへのマイナスイメージが大きいように思います。
さて、全体を通して考えてみます。
あなたの一番の望みは何でしょうか。文面には表現されていませんが、あなたの好きな夫とこれまでのように2人の生活を続けること、ではないでしょうか。これはあなたの選択肢にはないようですが、あなたがこれからも夫と楽しい生活を願うのであれば、あなたの正直な思いを夫に話すことが良いのではないでしょうか。
そのときに、夫にあなたから話していただきたいのは、あなたの中にある子どもをマイナスのイメージに捉える理由です。あなたの好きな夫が、子どもが欲しいとずっと言っていたのにもかかわらず、あなたの思いは変わらなかった。あなたはあなた自身を守るために子どもにマイナスイメージを持って、子どもとの生活をしなくて済むようにしているのではないでしょうか。
夫は、あなたにある子どもへのマイナスイメージの理由がわかると、あなたを受け入れてくれるように思います。
あるいは、子どもがいてもプラスに考えられる生活がしたい、ということであれば、あなたのしたい生活スタイルを夫と話し合い、協力し合いながら生活スタイルを作っていくこともできます。あなたが自由に時間を使うことや社会と関わりを持つこともできます。嫌いな義両親との付き合い方も決めていくこともできます。あなたは具体的にプラスになれないポイントがいくつかあります。それを我慢しないで実現するという方向です。
子どもをもつということは、どちらかが我慢を強いる・強いられる関係では不幸になります。子どもをもつことで夫婦の絆が強められる関係であるから、子どもも含めて家族が幸せになれるのです。
あなたが子どものことをプラスに考えられるようになるためには、あなたご自身が抱えているであろう、子どもをマイナスに捉える理由を見つけて夫に話すことや、これを機会に、お互いの思いを話し合える夫婦になるチャンスとして活用していくことができれば、すぐではないかもしれませんが、その過程の中で、あなたは子どもをプラスに考えることができるようになっていくと思います。
これだけの自分の思いを表現できるあなたですから、あなたは先に進むことができます。大丈夫。それでも、ひとりではつらいときは、専門の相談機関や信頼できる主治医に一緒に考えを整理してもらうのも良い方法です。