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仕事と子育て

Q. 5歳児のいる共働き家庭。日々時間に追われています。 (2023.10)

  • (妊娠週数・月齢)5歳

5歳の息子がいます。夫婦フルタイム共働きでともに通勤時間が往復約3時間です。平日はとにかく時間がなく、朝は眠そうな息子を6時半に起こし、7時半には保育園に登園。お迎えは夕方6時半過ぎ、7時前に帰宅して、可能な限り手早く夕食にしますが、食べ終わるのに時間がかかったり、違うことに夢中になったりでお風呂、歯みがき、絵本を終えて消灯するのが10時を過ぎます。時間がないのは親の仕事の都合なので、子どもをせかすことは本当はいけないとわかってはいるのですが、食べ終わらなかったり、遊んでいたがったり、絵本も5冊も6冊も読みたがり、結局、「もうこんな時間だよ、急いで」と、始終子どもをせかしてばかりの生活になっています。最近は、「いつも急いでって言われてる」とぼやくようになりました。また、年のわりに親にべたべた甘えることが多く、これは触れ合う時間の少なさからかとも思います。時間を生みだすことはなかなか難しいのですが、夫婦ともに子どもを大切に思っており、忙しい日々でも子どものために気をつけられることがあれば教えてください。

回答者: 高橋惠子先生

 共働きをしながら幼児を育てる日々がどんなに大変であるか、よく理解できます。お母さんもお子さんも、疲れておいでのことでしょう。現在のような毎日を、少なくとも子どもが親の具体的なケアを必要とするあと数年間、たとえば、子どもが小学校高学年になるくらいまでの間、続けられるかを考えてみてはいかがでしょう。とくに、お子さんにがまんを強いていないか、子どもが毎日幸せそうか、健康で、楽しそうに笑顔をたくさん見せているかを、チェックしてみてください。子どもがもっとも嫌うのは親から「早くしなさい」と言われることだという調査報告があります。子どもには子どものやり方や生活のペースがあるからです。

 共働きをしながら幼い子どもを育てる親は“子ども中心主義”を心がけることが大切です。平日には親子が接する時間は限られますので、濃密な付き合いを心がけましょう。量の少なさを質の良さで補うことです。たとえば保育園に迎えに行ったときには、子どもにとっては緊張の1日が終わったのですから、親はしっかり子どもを受け入れましょう。お迎えの親を見て大喜びで急いでやってくるようであれば、子どもが親を大切に思っていることがわかります。子どもが抱っこを望めば抱っこし、「がんばったね」と声をかけましょう。「早く帰りましょう」などと急がずに、保育者にあいさつをしたり、その日のようすを聞いたりもしましょう。そして、帰宅後も、夕食、お風呂、歯磨きなどとせかさずに、子どものペースに合わせましょう。

 このような“子ども中心主義”を実行するためには、親には生活の工夫が必要でしょう。第一には、平日の家事の手を抜くことです。たとえば、冷蔵庫のほかに冷凍庫を別に持って活用している家庭が増えているのは、食事の支度を合理化しているからでしょう。冷凍庫の容量が増えると、休日にまとめて調理しておく、冷凍食品を利用するなどが可能になります。洗濯や掃除についても、完璧にしようとしないことです。第二には、家事・育児の支援をほかの誰かに頼むことをお勧めします。何でも母親が一人でするのは無理なことです。日本は共働き家庭でも母親が家事・育児に多くの時間を費やしている“おかしな国”であると報告されています。お父さんにもしっかり家事・育児に参加してもらうこと、そして、時には家事代行のプロに支援を頼むことも考えてはいかがでしょう。週に一度、月に一度でも、定期的に家事の支援をプロに頼むと助かることでしょう。

 そして、最後に、しかし、もっとも重要なことは、母親と父親の働き方を点検してみることです。自分たちの人生にとって、現在の仕事がどのように大切であるのか、話し合ってみましょう。仕事の内容や働き方を見直してみること、就労時間の短縮やリモートによる就労が可能かなどについても検討してみることです。

 いま、ワーク・ライフ・バランスという生活の仕方が求められています。やりがいや充実感を持ちながら働いて仕事の責任を果たすこと、そして、家庭や地域の生活や自己啓発においても充実した豊かな生き方もできること、というワークとライフの調和が必要だということです。人生百年時代です。現在、そして、これから、親と子がどのような暮らしをしたいのか、ちょっと立ち止まってみるのはいかがでしょう。おとなのペースで営まれている毎日の生活に、5歳のお子さんが赤信号を灯していると考えてみてください。