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性格・親のかかわり・育て方

Q. 1歳9か月の娘との食事の時間が苦痛でしかたありません。 (2023.10)

  • (妊娠週数・月齢)1歳7か月

1歳9か月の娘は、遊んでほしいのにかまってもらえないときや、食事中に親のカトラリーで遊びたいのに触らせてもらえないときなど、何かの拍子に機嫌を損ねると食事を一切食べなくなります。泣きわめき、お皿を押しのけ、口に食べ物を入れても丸々吐き出し、吐き出したものをテーブルに叩いて広げたり、スプーンを投げたりします。そうなると私もイライラが止められなくなります。夫がいるときは夫が抑止力になりますが、私一人のときの方が圧倒的に多く、そのときは「なんで食べないの」「イライラする」など声を荒らげてしまいます。娘の前でスプーンをテーブルに叩きつけたり、ほかの部屋に行っておもちゃを床に投げつけたり、扉を蹴飛ばしたこともあります。栄養バランスが偏る、低血糖になるかもしれないという不安、せっかく用意したのにという怒りや虚しさ、食材が無駄になることへの罪悪感などが強く、イライラが抑えられません。レトルトや市販品を使ってみても、「好きそうなものを用意したのに食べてくれない」、「食材が無駄になる」とイライラは変わらずでした。夫には「子どもが気分で食事を拒否するのは当たり前。なぜそんなにイライラするのかわからない」と言われ、娘が食べるのを渋り出すと私がいつキレるかと「ハラハラする」と言われます。娘は保育園での食事は積極的に食べ、おかわりをすることもあるようです。私も娘も、家での食事時間が苦痛になっています。どうしたら楽しく過ごせるのでしょうか。このままでは娘に手を上げてしまうのではと、自分自身が怖いです。

回答者: 帆足暁子先生

 確かに、あなたにとっても娘さんにとっても食事時間は苦痛になっているようです。
 なぜ、そうなってしまったのでしょうか。あなたと娘さんの気持ちがすれ違っているような気がします。

 まず、あなたの気持ちを考えていきます。
 あなたは娘さんが食事を食べないとイライラが止められなくなります。それは、娘さんの栄養バランスが偏る、低血糖になるかもしれないという娘さんを心配する不安からだったり、せっかく用意したのに食べないという「私の思い」を受け入れないことへの娘さんに対する怒りや虚しさだったり、食材が無駄になることへの罪悪感などが強く、レトルトや市販品を使ってみても、好きそうなものを用意したのに食べてくれない(たぶん怒りや虚しさ)、食材が無駄になる(たぶん罪悪感)ことで、やはりイライラされています。
 つまり、食事を食べてほしい願いがあなたのイライラの原因です。

 では、次に娘さんの気持ちを考えてみます。
 娘さんは、あなたに遊んでほしいのにかまってもらえなかったり、親のカトラリーで遊びたいのに触らせてもらえないときなど、自分の思いが受け入れてもらえない不安から、「食べない」という行動を選択し、娘さんは「あなた」を受け入れない行動になっています。 そしてそこからは何としても「食べない!(受け入れない)」と 貫き通します。
 つまり、「私の思い」を受けいれてほしいという願いが食事を食べない原因です。

 さて、こう考えると、あなたが「食事」にこだわればこだわるほど、娘さんは「食べない」という行動をとるように思います。この場合の解決法は、あなたが「食事」へのこだわりを解いてあまり関心を持たなくなることです。そうなれば、娘さんは「食べない」行動をとる意味がなくなり、保育園のように「食べる」ことになります。

 実際は、そう簡単ではないのはわかります。
 なぜなら、あなたには「食事」にこだわる理由があるはずだからです。

 ただ、少し「食事」から離れて考えてみませんか。
 いつからかはわかりませんが、「食事」をめぐってあなたと娘さんは、お互いが「私の思い」を相手に受け入れてほしい、と思っているようです。であれば、娘さんがあなたに受け入れられている安心感ができれば、娘さんもあなたやあなたのこだわる「食事」を受け入れていく可能性が大きいからです。

 もちろん、「遊んでほしいのにかまってもらえないときや、食事中に親のカトラリーで遊びたいのに触らせてもらえない」ことなど、何でも娘さんのやりたいことを受け入れる、ということではありません。それでは娘さんの言いなりになってしまいます。
 そうではなく、コツは、食事場面以外で、たくさん遊んであげたり、一緒にふざけたり、「ママの大事な〇〇ちゃん、大好き!」と言ってくすぐりっこしたり、娘さんの好きな絵本を読んであげたり、といった娘さんがあなたに受け入れられている安心感が持てる関わりをたくさんすることです。それができれば、食事場面に娘さんがこだわる必要がなくなります。
 娘さんは「食事」場面であなたの言うことを聞かないことが、一番あなたをイライラさせられる、つまり注意を引けることを直感で見抜いているのです。でも、娘さんはあなたをイライラさせることを願っているわけではないのです。「私を受け入れてくれないなら、あなたを受け入れてあげない」という悲しさがそこにあるように思います。まだ1歳ですから、そこから先はどうしてよいかわからなくて、行動だけがエスカレートしてしまっているのです。

 このようなお互いに戦い合うような親子体験の記憶はできるだけ作りたくありません。ですから、まず、娘さんと同レベルになる戦いからは早く抜けて、楽しい親子関係の記憶に修正しましょう。それができれば、いままでのことがなかったかのように、安定した姿を見せてくれます。

 お子さんの年齢ですと、イヤイヤ期に入ってきてもいます。自我の芽生えとともに、自立と自律の能力が育つチャンスです。だからこそこのような戦いも起こるのです。
 つらいときは、担当の保健師さんにお昼ごはんのときに来てもらって、家でも楽しい食事体験を作っていくことも、役に立つと思います。

 いまはさまざまな子育てのサポートがあります。せっかくですから、保健師さんに教えてもらって活用するのも良いと思います。