妊娠中の気がかり（体重・食事・病気・体調など）
Q. 妊娠6週目。子宮に大きなポリープがあり出産できるのか心配です。 (2023.12)
- （妊娠週数・月齢）妊娠2か月 (4〜7週)
25歳、妊娠6週目です。妊娠判明と同時に子宮にポリープが見つかりました。診察してもらっている病院では、あまり前例がないほど巨大なポリープで、子宮口がすでに開いており難しい妊娠・出産になるだろうと言われました。1年前の検診では何も指摘されず、子宮頸管がんの検査も陰性でした。ほぼ良性と言われており結果待ちですが、大きいとなると悪性の可能性は否定できないでしょうか？ また、子どもが無事に生まれる確率は低くなるのでしょうか？ ポリープが見つかった場合の妊娠・出産で気をつけるべきこと、想定しておくべきことなどを教えてください。
回答者: 安達知子先生
子宮のポリープには、子宮内膜ポリープと頸管ポリープがありますが、今回のものは子宮頸管ポリープと考えられます。おそらく妊娠前から持っていた頸管ポリープが妊娠中に増加する女性ホルモンの影響で大きく発育して、頸管内から腟内に露出して診断されたものと考えます。１年前の検診ではなかったということはよくあります。
頸管ポリープは小さいものではそのまま分娩まで経過観察することもあります。しかし、大きく発育すると、頸管（子宮口）を開大させる恐れがある、頸管に挟まれて循環が悪くなってポリープに壊死を起こしやすくなる、そうすると腟内や頸管内の細菌から感染を起こして頸管炎へと進展して流産しやすくなる、などが考えられます。出血もしやすく、出血するとその血液によりさらに細菌が増殖して感染が進行しやすくなります。
頸管ポリープが悪性の可能性はおおよそ0.6％と低いものですが、今回は大きいポリープですので、良性でも妊娠経過に影響することを考えて、摘出して組織検査をすることをお勧めします。出血などの症状がなければ、おそらく胎盤が形成される12～16週くらいにポリープ切除の小手術を行うことになります。
通常は日帰り手術か1泊入院です。ポリープはその付け根（基部）の先端は頸管内の奥にありますので、安全性を考えて妊娠中は頸管内に一部基部を残して摘出します。小手術の前に数日間、腟内に自身で抗菌薬の腟坐薬を挿入してもらうことが多いです。また、切除時は残った基部の断端を電気メスで止血することが一般的です。手術時間は5〜10分程度です。手術前に頸管長や胎盤の位置を確認しておきます。万が一ですが、頸管長が短縮している、以前頸管無力症で切迫早産の既往がある、などの方は、ポリープ切除と同時に頸管縫縮術をする可能性もあります。なお、ポリープは基部が残っていますので、妊娠経過とともにまた発育してきますが、頸管内に収まっていれば問題はなく、通常の妊娠経過で分娩を迎えられると思います。あまり慣れていない病院でしたら、しかるべき病院を紹介してもらってください。