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ママ・パパの気持ち

Q. 3歳の息子と4か月の娘の母。上の子がかわいいと思えません。 (2024.1)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

3歳の息子と、4か月の娘がいます。日を追うごとに「上の子がかわいくない」という気持ちが強まるばかりでつらいです。かわいくないと思うのは、私が息子に責められているような気がするからです。赤ちゃん返りをされると「愛情が足りない」と、ご飯を残されると「料理が下手だ」と、夜寝てくれないと「日中の遊びが足りなかった」と責められているように感じます。以前のように、時間をたっぷりと使って息子と向き合うことはもうできないし、息子にとって十分な母親になれなかったとしても、息子をかわいいと思っていた以前のような気持ちを取り戻すことはできるでしょうか。

回答者: 帆足暁子先生

 「上の子がかわいくない」という気持ちが強まるばかりのつらさ、かわいいと思っていた気持ちを取り戻したい、と思っていらっしゃることが伝わってきます。
 一つひとつ考えていきたいと思います。

 あなたは、息子さんをかわいいと思えなくなった理由が「責められているような気がするから」とご自分の気持ちを整理されています。赤ちゃん返りされるときやご飯を残されるとき、夜に寝てくれないときなど、あなたに向かって出される息子さんの思いに責められていると感じられているのかもしれません。

 そう、息子さんはあなたを責めています。だってあなたが大好きだからです。自分と一緒に居てほしいのに、赤ちゃんに時間や手をかけているからです。その思いをあなたに向けるので、責められていると感じるのは正しい受け止め方です。

 ただし、考えてみるとわかりますが、赤ちゃんに母親が時間や手をかけることは仕方がないことです。上の子どもは育っていて自分のことはある程度できるようになっていることも関係しています。これはどちらの方がより好きなのか(情のレベル)、ということではなく、どちらがより弱い存在なのか(認知レベル)という判断からです。これは種族保存の法則にのっとっていて、「上の子かわいくない症候群」と言われるゆえんでもあります。でも、子どもにはまだそれを認知のレベルで捉えることは難しく、情のレベルで捉えてしまい、「ママは赤ちゃんの方がかわいいんだ」と思うので悲しくなり、その気持ちをわかってくれない母親に対して怒りをぶつけてしまうのです。
 生まれてから3年くらいの子どもです。どうしたらあなたを取り戻せるのかを考えた方法が、同じ赤ちゃんになって世話をしてもらおうとする「赤ちゃん返り」という方法であり、もしかしたら、食べ物を残すことや夜に寝ないことで、あなたの気持ちを引こうとすることなのかもしれません。

 もしかしたら、あなたご自身に、もっと息子さんにかかわってあげたいのにできないという、息子さんに申し訳ない思いがあり、それが息子さんに伝わり、「申し訳ないことをされているボク」というストーリーになっているのかもしれません。あなたはこれまで息子さんにたくさんかかわってこられたのではないですか? これからはきょうだいとしての次のステージになっていくのです。それは息子さんにとって決してマイナスではありません。

 それから、「以前のように、時間をたっぷりと使って息子と向き合うことはもうできないし、息子にとって十分な母親になれなかったとしても息子をかわいいと思っていた以前のような気持ちを取り戻すことはできるでしょうか」とあります。

 確かに「以前のように、時間をたっぷりと使って息子と向き合うことはもうできない」のは、既述しましたように自然の摂理です。時間の長さ(量)ではなく、息子さんの話を聞く時間や絵本を読んであげる時間など(質)に変えることで、これまでのかかわりと同じように、赤ちゃんとは違うふたりの豊かな時間にすることができます。

 「息子にとって十分な母親になれなかったとしても」とありますが、「十分な母親」とは何でしょうか。子どもの思いを全部叶えてあげることは「十分な母親」ではありません。それよりも、息子さんが、赤ちゃんが増えた4人家族の現実生活を受け止め、その中で悲しさや甘えや怒りや寂しさなどの自分の気持ちを自分で収めていくことができるように支えることの方が、ずっと息子さんにとっては必要なのではないでしょうか。それは、母親ができないことはできないと伝えながら、子どもの不安な気持ちを理解しようとし、安心できるようにかかわることで実現できます。つまり、赤ちゃん返りや食べないこと、寝てくれないことを、「ママが赤ちゃんのことばかりお世話をしているから、あなたのことが好きじゃなくなったと思って悲しいのね。大丈夫よ。ママはあなたが好き。」と息子さんに話したり、「赤ちゃんのおむつを持ってきてくれる?」などとママの役に立つことができる自分という、赤ちゃんにはできない自分の存在に自信を持たせることもよいと思います。あるいは、週末に、夫に赤ちゃんを預け、息子さんと二人きりで時間を過ごすことも、息子さんの安心感につながります。

 あなたが、息子さんの悲しさを理解して、息子さんにわかっていることを伝えていくことで、息子さんは次第に安心していくことができます。そうすると、あなたと息子さんの関係は以前のように、あるいは、以前よりも確かな関係になっていくと思います。

 もし、それでもつらい思いがなかなか消えなかったら、保健センターや子ども家庭支援センターなどの信頼できるスタッフに一緒に考えてもらってください。