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出産について

Q. 第1子妊娠時に妊娠高血圧症候群を発症。2人目について悩んでいます。 (2024.2)

2人目の子どもを持つかどうかで悩んでいます。1人目の妊娠中に、妊娠高血圧症候群を発症しました。妊娠が判明したころは、上の血圧が90ぐらいでしたが、17週から120を超え、最後は150まで上昇し、尿タンパク、尿糖も出ていたとのことで、30週に帝王切開で出産しました。子どもは1,000g未満で生まれ、染色体異常も見つかりました。現在は、発達遅延がありながらも元気に育っており、来年は幼稚園に入園予定です。そろそろ2人目がほしいと思っていますが、妊娠高血圧症候群のことや障害のことが心配です。2人目の妊娠はいろんな意味でリスクが高いでしょうか。また、もし妊娠した場合、妊娠中に気をつけるべきことがあれば教えてください(妊娠した場合は、障害のことを考え、出生前診断は受けようと思っています)。

回答者: 安達知子先生

 妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降に高血圧を認めるもの(妊娠高血圧)、高血圧にタンパク尿やあるいはタンパク尿がなくても胎児発育不全、肝機能障害、腎機能障害、脳神経障害、血液凝固障害などを認めるもの(妊娠高血圧腎症)、妊娠20週以前から高血圧やタンパク尿などがすでにあり20週以降増悪するもの(加重型妊娠高血圧腎症)に大きく分類されます。発症するリスク因子としては、妊娠高血圧腎症既往、多胎、高血圧、糖尿病、腎疾患、自己免疫疾患などが挙げられています。また、高齢妊娠や肥満などによっても頻度が高くなります。
 この疾患の原因は不明ですが、とくに妊娠34週未満に発症するものは、妊娠16〜18週くらいまでの胎盤が完成する時期に胎盤形成不全が起こることが原因とも考えられています。胎盤機能低下が起こることによって胎児発育不全も伴い、母児共に危険な状態となります。妊娠30週では通常、児は平均1,500gくらいですが、1,000g未満とのことですので週数に見合った発育が得られていません。お子さんに染色体異常があるとのことですが、胎盤も同じ染色体のため、胎盤の染色体異常のために胎盤形成不全が起こり、発症した可能性もあります。
 さて、次回の妊娠に関しては、妊娠高血圧腎症の既往がありますので、当然ハイリスク妊娠となります。母体に基礎疾患があれば、そのコントロールが必要です。前回のことを考えて出生前診断を受けられることは良いと思います。なお、児に染色体異常がなくても、既往を考えて妊娠中は担当医や助産師より生活指導を受けてください。適度の運動、低カロリー高たんぱく質の食事をし、疲労を重ねないようによく休み、妊娠前の体重は可能な限り標準体重内とし、妊娠中の体重増加には注意して、自宅で朝夕の家庭血圧の測定と記録を励行してください。
 なお、子宮-胎盤循環を良くするため、低用量のアスピリンを妊娠初期から妊娠28週くらいまで服用して、妊娠高血圧症候群の予防を行うこともあります。より安全な妊娠・出産をするための参考にしてください。なお、次回の出産は帝王切開になります。