母乳とミルク・授乳
Q. 生後2か月。授乳後、よく吐く子はどのように抱っこしたらいいですか? (2024.6)
- (妊娠週数・月齢)2か月
生後2か月の赤ちゃんを母乳で育てています。新生児のころからよく吐くので、授乳後は縦抱きで様子を見ています。その際、うんちをしようとしていきんだりすると、母乳が胃から戻ってきてしまうことがあります。縦抱きのままだと勢いがないのか、吐けずにむせて飲み込んでしまい顔を真っ赤にして泣きます。縦抱きで子どもが吐きたがっている、あるいは母乳が上がってきてコポコポいっている状態のときは、どのように体位を変えてあげるとよいのでしょうか。
回答者: 市川香織先生
生後2か月の赤ちゃんが吐きやすく、その対処方法にお困りなのですね。
赤ちゃんは大人の胃に比べて、胃の入り口の筋肉がゆるく、形も縦型なので、飲んだ乳汁が食道のほうに戻ってきやすいですね。また、母乳を飲むときに人工乳ほどではないですが、空気も一緒に飲み込むため、げっぷとともに戻してしまうことも多いですね。基本的には、授乳後は縦抱きで背中をさすってあげながらげっぷを出すのがよいので、いま実際にしていただいている方法でよいでしょう。
縦抱きでげっぷをさせる際に、お母様のお膝に横向きにちょこんと座らせて、お母様の前腕にもたれかからせます。ちょうど赤ちゃんの胃のあたりを前腕で支える形で安定させ、もう一方の手で背中をさすります。もしくは、お母様の肩まで抱き上げて、赤ちゃんの胃やおなかあたりをお母様の鎖骨あたりの胸で支える形をとると、げっぷをしやすくなり、乳汁が一緒に上がってきても吐き出しやすくなります。どちらも赤ちゃんの姿勢を、縦よりも前かがみにして、もたれかからせるくらいの角度にするのがポイントです。胃が赤ちゃんのおなか側に下がると、食道のほうに空気が上がりやすくなるので、げっぷも出やすくなり、赤ちゃんも楽になります。縦抱きで赤ちゃんが吐きたがる様子を見せたときも、少し前かがみにしてみましょう。うんちをしようといきんでいるときも、やはり逆流しやすい状態になっているので、前かがみのほうがよいと思います。
また、お母様の母乳分泌も多くなってくるころですので、授乳開始直後に勢いよく出始めた母乳を飲むときに、赤ちゃんがその勢いに合わせるように焦って吸いつき、空気もたくさん飲み込んでしまうことがよくあります。飲ませ始める際に少しだけお母様自身が乳輪のまわりをほぐすようにしながら乳汁を搾りだし、母乳の勢いをゆるめてから赤ちゃんに吸着してもらうようにすると、無駄な空気を吸わずに吸い始めからぴたっと密着できるでしょう。搾りだす量は気にせず、乳輪のまわりを1周する程度ほぐして、乳汁が噴出するのを防げれば大丈夫です。左右の乳房の切り替えは、片方の母乳を十分飲んでからにしましょう。片側の乳汁をしっかりと飲み切ることで、赤ちゃんはゆったりと母乳に吸いつき空気を飲みすぎなくなりますし、おなかも満足しやすくなり、飲みすぎを防げます。
5分5分など時間で左右を切り替えたりすると、勢いよく出る母乳にむせたり、出始めの濃度のやや薄い母乳のため満足せず、飲みすぎてしまったりするのです。もし片方で満足して寝てしまったら、次回は反対側から飲ませます。お母様の乳房が張ってしまってつらいようでしたら、飲ませる前同様、乳輪のまわりだけ少し搾って圧を抜いてあげると楽になります。搾りすぎるとその分余計に乳汁が作られてしまい、張りが増すため、少し楽になる程度にしておくとよいでしょう。
お母様の母乳の分泌量は赤ちゃんが飲み切る量にカスタマイズされてきますし、赤ちゃんの胃の形状や胃の消化能力も少しずつ成長していきます。赤ちゃんの吐き方が噴水のようになって何度も吐いたり、ずっとぐずって機嫌が悪かったりすることが続くようなら、小児科に相談しましょう。日がたつにつれて、赤ちゃんも自分にとって必要な量を飲んで、げっぷも楽に出せるようになってくるでしょう。