母乳とミルク・授乳
Q. 生後4か月の双子。1人は順調なのに、もう1人は授乳量が増えません。 (2024.8)
- (妊娠週数・月齢)4か月
生後4か月になる双子がいます。1人はしっかり母乳もミルクも飲み、体重が増えています。しかしもう1人は、母乳の量もミルクの量も生後3か月に入ってからぐっと減ってしまい、体重がほとんど増えていません。混合栄養で、母乳とミルクを時間で交互にあげています。いまは1日6回の授乳です。
母乳は、片乳5~7分飲んで終わり、体重を計ると、60~90mLは飲んでいます。もう片方の母乳をあげようとすると、舌をベーと出し、それでもなんとかくわえさせようとするとマーライオンのように吐きます。そのため最近は、舌を出したら終わりにしています。生後3か月になるまでは、130mL程度、両乳から飲んでいました。「母乳を飲まないならミルクを」と用意してもミルクも飲みません。生後3か月になるまではミルクのみの授乳時も130mL飲めていたのに、いまは80~120mL程度。夜中だけ140mLしっかり飲みます。せっかく飲んでも大量に吐いてしまうことも多く、あまり吸収されていないようで、体重の増えは12g/日くらいです。
遊び飲みをする時期ですが、こんなに飲む量は減ってしまうものでしょうか? 母乳はある程度出ているとは思うのですが、少ししか飲まないのはなぜでしょうか。片乳しか飲まないため、飲んでもらえなかったほうはパンパンに張ります。もっと飲んでほしい気持ちと飲んでくれないモヤモヤと、体重もなかなか増えない焦り、乳腺炎の不安などで、なかなか気分が晴れません。
回答者: 市川香織先生
双子のお子様のおひとりの哺乳量が減って、体重の増え方も減っているのでご心配なのですね。混合栄養をしていて、母乳の量もミルクの量も生後3か月くらいから減ってきているとのこと。この時期になると、飲む量はムラが出やすいので、1回ごとの飲む量を厳密に追うのは難しいですよね。それでも母乳だと60~90mL/回、ミルクだと80~120mL/回ということですね。確かにやや少なくはなっていますが、具合が悪くて飲めないわけではなく、お子様自身の意思で満足して授乳を終えているように感じます。
尿や便の排泄はいかがですか。尿でおむつがずっしり濡れて6回以上おむつ替えしているようであれば、飲めていると考えられます。皮膚のツヤもよく、機嫌もよく、活発に手足を動かすようであれば、様子を見てもよいと思います。
母乳ですと、1回に飲み取れる量も少なめで、消化も早いので、次の授乳までの間に1回短めに授乳を入れてもよいかもしれませんね。ただし、双子の授乳のバランスがあるので、タイミングがずれてしまうとずっと授乳することになり、お母様も体力的にきつくなってしまうと思います。育児をサポートしてくれるご家族がいれば、授乳以外はお願いして、お母様は授乳に専念できるとよいですね。
お母様の乳房のケアとして、1回の授乳で飲まなかったほうの乳房については、軽く圧抜きをしておきましょう。全部搾り出すとさらに乳汁が産生されてしまうので、あまり積極的には搾りません。でもパンパンに乳房が張ってしまうと、次の授乳の際に硬くなって飲ませにくくなったり、場合によっては炎症を引き起こし乳腺炎となる可能性もあります。ですので、飲まなかったほうの乳房の乳輪部に自分の親指と人差し指を当てて、じんわりと押していき、指の位置を替えてゆっくりと1周するように圧迫して搾乳することで、乳房の中の圧を抜いていくのです。乳汁を搾ることがメインではないので、出てきた乳汁はタオルなどに出せるとよいでしょう。また、双子のもうひとりは順調ということですので、その子にしっかりと飲み取ってもらうようにしてもよいですよね。圧抜きは、パンパンに張っていてつらいときだけ行えればよいと思います。
また、体重の増加量は赤ちゃんの成長の一番の指標になるのですが、ほかの指標として、たとえば身長の伸びなどはいかがでしょうか。体重が増えない分、身長が伸びる場合もあるかもしれません。また、身長も体重も横ばいであっても、手足の動きが増えてきたり、何でも口に入れて確かめるなど好奇心が旺盛になっていたり、ほかの成長サインがあるかもしれません。お子様が元気なのかどうかを一番に見てあげてくださいね。
あと1か月程度たつと、離乳食も始まってきます。母乳やミルクをあまり飲まない子は離乳食をよく食べるという例もたくさんあります。
いまの哺乳量が少ない状況は、健診などで小児科の医師に相談して、健康状態を確認してもらっておくと安心ですね。そのあとも継続的に見てもらいましょう。乳房のトラブルにつながりそうであれば、助産師による母乳育児相談を受けるのもよいでしょう。