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母乳とミルク・授乳

Q. 生後1か月。完全母乳で育てたいのですが、混合栄養を勧められます。 (2025.3)

  • (妊娠週数・月齢)1か月

生後1か月になる娘を、ほぼ完全母乳で育てています。1か月健診の前に新生児黄疸と言われ、産院に5回ほど通ってビリルビン値と共に体重チェックも細かくしました。そのたびに「体重の増えが悪いから、ミルクを足してください」と言われていました。娘は、授乳中にどうしても寝てしまいます。母乳をあげると、張っていた胸が少しは軽くなりますが、飲み残しがあり授乳直後でも100mLぐらい搾乳できます。授乳指導のたびに「50mLぐらいしか飲めていないので、やはりミルクを…」と言われますが、私としては目が覚めたら母乳を飲んでほしいです。母乳で体重を増やすのは難しいのでしょうか。

回答者: 市川香織先生

 生後1か月でほぼ完全母乳で育てていらっしゃるのに、人工乳を足すように言われてしまい、戸惑っておられるのですね。新生児黄疸のため頻繁にビリルビン値と体重チェックに通っていたとのこと。授乳中にお子様が眠りがちなので1回の授乳で十分に飲めず、体重増加もゆっくりだったようですね。
 出生直後数日で赤ちゃんの体重は一度減り、その後徐々に生まれたときの体重に戻り、増えていきます。ですから生まれたときの体重といまの体重を差し引きして、1日当たりの体重増加を見ると少ないと思ってしまうかもしれません。一度減っていますので、そこからどのくらい増えてきているかが大切です。この時期ですと1日に25~30g増えるのが平均的で、15g程度ですと体重増加が少ないと判断されます。でもこれはあくまでも目安です。大事なのは、活気があって肌もみずみずしく、1日に6回以上排尿があるかどうかです。十分に飲めていれば尿も出ますので、薄い色の尿がたっぷり出ているようであれば大丈夫です。生後1か月を過ぎると、体重の増え方はそれまでより緩やかになっていきます。体重増加は赤ちゃんの全身状態、すなわち健康に育っているかの重要な指標なので、医療関係者は重視します。もちろん赤ちゃんの成長発達を表すサインはほかにもありますので、体重だけに捉われなくてよいでしょう。

 お母様の母乳は生後2週間くらいから分泌量も増えます。授乳直後に搾ると100mL搾乳できるということなので、母乳は十分作られていますね。できればそれをたっぷり飲ませてあげたいですよね。母乳を飲ませると胸の張りも軽くなるということですので、お子様も飲めているのだと思いますし、50mL(g)飲めているのであれば、哺乳量はばらつきがあるので、もっと飲めているときもあるのだろうと思います。総合的な判断(活気や排泄量、体重増加)は必要ではありますが、赤ちゃんの自律的な哺乳行動に合わせて、授乳回数にこだわらず泣いたら授乳するという方法を試してみてもよいのではないでしょうか。
 また眠りがちであれば、起きている間にたくさん飲めるように、赤ちゃんが母乳を飲んでいる間、飲んでいる乳房を少し圧するようにしてみてください。母乳の成分は、飲み始めより飲み終わりのほうが脂肪濃度の高い乳汁になると言われています。脂肪はカロリー源であると同時に、脳の発達にも欠かせない栄養素ですので、1回の授乳のうち後半の乳汁を飲んでもらうことは大切です。左側5分右側5分など時間を決めて左右の乳房を切り替えて飲んでもらうと、脂肪濃度の高い乳汁にまで行きつく前に疲れてしまいます。ですので左右交換したりせず、片方の乳房をお母様が楽になるまでしっかりと飲んでもらうほうが、赤ちゃんの体重も増えやすくなります。片方飲んで寝てしまった場合は、飲まなかったほうの乳房を少しだけ搾乳しておき、次の授乳では飲まなかったほうの乳房からしっかり飲んでもらえば大丈夫です。また、乳頭のくわえ方も大切で、浅くくわえるとうまく飲み取れません。乳輪部まで深くくわえてぴたっと吸着できるようにしましょう。そして、乳汁分泌量は夜間のほうが増えます。夜間たっぷりと飲んでもらうようにするとよいでしょう。

 赤ちゃんが泣いたら授乳するという方法でやってみて、完全母乳でいけそうかどうか、やはり専門家にも見てもらいたいですよね。地域には母乳育児支援を行っている開業助産師もたくさんいます。実際の体重や赤ちゃんの飲み方、お母様の乳房の状態など、直接見て判断してもらうと安心できると思います。不安なことは何でも聞いて、より良い方法を一緒に考えてくれる助産師を探してみてくださいね。