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家族関係・夫婦・ママ友

Q. 夫の性的DVで3人目を妊娠しました。 (2025.5)

  • (妊娠週数・月齢)3歳
  • (妊娠週数・月齢)6歳
  • (妊娠週数・月齢)妊娠2か月 (4〜7週)

6歳と3歳の子どもを育てています。夫とは、上の子を妊娠したため結婚しました。就職したばかりの4月に妊娠がわかり、出産のため12月ごろに退職しました。
1人目が生まれてから、夫の性的DVは酷くなり、避妊はしてくれず、赤ちゃんを抱いていても、赤ちゃんが泣いていても、こちらの同意なしに行為に及んできました。2人目を出産してからは自分を守るために低用量ピルを飲んでいましたが、子どもたちが感染症になり、正しく服用できない日がありました。そのタイミングで3人目を妊娠しました。
夫は子どもに関心はなく、家事や育児も協力してくれません。私は、子どもたちは本当にかわいいです。しかし、これから何人産むことになるのだろうと思うとつらく、3人目を産む決断ができません。いまの生活は体力的にも精神的にも限界です。一方で、いまいる2人は生まれることができて、なぜ3人目を産んであげられないのかと思うこともつらいです。
でも、また産む決断をしたら、これからも夫は何の反省もなくDVを続け、私は何度も妊娠させられそうです。こんな生活は怖くて仕方ありません。中絶はしたいです。でも、つらいです。どうしたらいいかわかりません。

回答者: 市川香織先生

 とても深刻なご相談を、勇気をもってお尋ねいただきありがとうございます。パートナーの行為は明らかに性的DVと言えます。これまでお二人のお子様を出産し育ててきておられるので、3人目を中絶しようと考えると、産んであげられないことに罪悪感を抱いておられるのですね。授かった子どもは悪くない、産んであげたい、その気持ちもわかります。

 パートナーはお子様たちに関心がなく、家事や育児も協力してくれないとのこと。体力的にも精神的にも限界ということから、言葉や態度などでも人を傷つけたり、精神的な暴力や嫌がらせをしたりといった、いわゆるモラルハラスメントもあるのではないでしょうか。これまでお一人でお子様を育て、家事をこなし、大変だったことと思います。パートナーとの離婚は考えているのでしょうか。お1人目のお子様の出産のタイミングで退職されていることから、子どもたちを抱えながらあなたが一人で生活していくには、経済的に厳しいという側面もあるのかと推測します。しかし、このままではたとえ今回のお子様を中絶したとしても、同じことが繰り返される可能性は高いですよね。すでに長期間にわたって性的DVを受けてきて、あなた自身が深く傷ついていることが心配です。そんな中、ここまでお子様たちを守って、よく育ててきましたね。今回中絶という決断をしたとしても、その選択はいたしかたないことです。決してあなたのせいではないので、自分を責めないでほしいと思います。

 中絶できる期間は限られていますので、いま決断しなければいけないことは中絶についてですね。できれば体のケアだけでなく、カウンセリングなど心のケアもしてくれる、そしてDVについての相談にもつながる施設でケアを受けられるとよいですね。そのためにもまずはDVについての相談窓口に相談しましょう。都道府県に設けられている配偶者暴力相談支援センターが代表的な窓口ですが、ここに連絡をするのはハードルが高いかもしれません。DV相談ナビ(#8008)や、性犯罪被害相談電話(#8103)を利用することもできます。DV相談+(プラス)では、フリーダイヤルの電話のほか、チャットでの相談受付もあります。ほかにも、NPO法人など民間団体で相談に応じているところもあります。また、性的DVはすなわち性暴力ですので、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターへの相談も考えられます。全国共通#8891(はやくワンストップ)で最寄りのワンストップ支援センターにつながります。相談内容はほかに漏れることはないですし、安心して相談してください。必要に応じてさまざまな連携機関や専門家につないでもらうことができます。

 DVについての相談は、自分さえがまんすればなんとかやっていけるのではないかと思って相談しないことが多いのですが、DVにはサイクルがあり、繰り返されてしまい、よりエスカレートしていくと言われています。そしてDVにさらされているうちに、被害を受けている方は自己肯定感が下がり、自分を大切にできなくなっていきます。ご自身だけでなく、お子様たちも暴力におびえ、心身の発達に影響が出てくる可能性さえあります。本来パートナーとの関係性は対等なはずです。どんな理由があっても暴力は許されません。相談する力があるいまだからこそ、自分と二人のお子様を守るために、パートナーとの関係を考え直していただければと思います。あなたは決して悪くないのです。勇気をもって相談窓口に相談し、自分のための一歩を踏み出してください。