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性格・親のかかわり・育て方

Q. 夫が、2歳の娘の胸ぐらをつかんだりします (2025.8)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳の娘と生後4か月の息子がいます。娘はイヤイヤ期で、言うことを聞きません。ひどいときは何でも「嫌!」と言います。買い物に行くと、店内を走り回って転んだり、人にぶつかったりして泣いたりします。注意しても聞かないので、私も夫もほとほと困っています。娘に対してイライラしたときは、私も夫も娘を怒鳴ることもあります。
とくに夫は激しく怒ることがあり、先日は、娘の胸ぐらをつかんで揺らして「お前の言うことばっかり聞けない! 俺の前から消えろ!」と怒鳴っていました。夫は「胸ぐらをつかむのはしつけで、父親は怒ったら怖いことを教えないといけない」と言います。私は「それは虐待に見える」と言ったのですが、聞く耳をもちません。夫婦の言い合いを見て下の子が泣き出してしまっても、夫は「やかましいから黙らせろ!」と言いました。親がキレずに、イヤイヤ期を乗り切るにはどうしたらよいのでしょうか。

回答者: 遠藤利彦先生

 大前提として、お子さんの胸ぐらをつかむ行為、および「俺の前から消えろ」といったお子さんの存在を全否定するかのような言動は本来、決してあってはいけないものです。また、そもそもそういった行為や言動は、お子さんのイヤイヤをやめさせるのに何ら効果をもたないどころか、むしろ逆効果と言うべきでしょう。

 加えて言えば、夫婦間の激しい言い合いを日常、頻繁に目にすることも、お子さんの心の発達にとってはとてもマイナスに作用する危険性があります。もちろん、どんな人でも感情を抑えきれずにカッとしてしまうことはあるものです。しかし、それをダイレクトにお子さんにぶつけてしまうことは極力、控えるべきです。ご夫婦の間で、お子さんのために何をすべきか、しっかりと話し合いをもっていただければと思います。

 また、パートナーが、どうしても感情を抑えきれない場合には、一時的に、お子さんと少し距離を置いてもらうなどしていただいたほうがよろしいかと思います。イヤイヤにはもちろん個人差はありますが、子どもが世界で唯一無二の自分という存在を作り上げていくために、またしっかりと自分の気持ちを自己主張する力を身につけるうえで、基本的に誰もが幼少期に経験する必要があるものです。

 まずは、確かに厄介だとは思いますが、お子さんのイヤイヤに関わるさまざまな行為の背景で、お子さんにとって必要な心の成長が、いま、まさに起きているのだという、少し肯定的な見方をしていただければと思います。
 そのうえで、お子さんのイヤイヤの行為をただ「ダメだ」とだけ言って、否応なく無理矢理止めさせようとするのではなく、たとえば「お母さんは、~~だから、あなたがいま、こうするのは良くないと思う」というように、親御さん自身の気持ちを率直に伝えることを心がけてみてください。お子さんはお子さんで、自分の気持ちをぶつけてくるでしょう。それに対して、親御さんは親御さん自身の気持ちを、できるだけ冷静な言葉にして、かつ、お子さんの目をしっかりと見て本気度を伝えたうえで、返していくということを少し辛抱強く実践してみていただければと思います。