アレルギー
Q. 生後10か月で卵アレルギーを発症しました。 (2025.10)
- (妊娠週数・月齢)10か月
生後10か月の息子が、卵アレルギーと診断されました。生後6か月から離乳食を始め、開始1か月のタイミングで卵黄を耳かき1さじ分からスタートしました。離乳食をほとんど食べてくれない日も多く、体調不良のときには卵黄をあげないようにしていました。そのため生後10か月でようやく卵黄小さじ3まで進み、卵白を耳かき1さじ分から始めました。卵黄は問題なく、卵白も耳かき1さじ分は大丈夫だったため、卵黄半分と卵白耳かき2さじ分を同じタイミングであげたところ、発汗してじんましんが出てしまいました。
受診した小児科で「全卵をあげるタイミングが遅い。生後5~6か月であげると卵アレルギーは出にくくなる」と説明され、自分の離乳食の進め方が遅いせいで息子が卵アレルギーを発症してしまったのかと自責の念が消えません。
生後10か月の現在も、離乳食はあまり食べません。食物アレルギー予防のために早くいろいろな食材をあげなくてはと焦る一方で、また食物アレルギーが出てしまったらどうしようという不安があります。今後どのように離乳食や卵を進めていけばよいのかアドバイスをお願いします。
回答者: 東海林宏道先生
ご質問ありがとうございます。離乳食が遅すぎたからアレルギーになった、と考える必要はないと思います。
食物アレルギーは過剰な免疫反応によるもので、必ずしも離乳食だけで発症するものではありません。卵アレルギーは自然軽快傾向があり、6歳までに7割以上で耐性を獲得したとの報告もあります。焦らず、アレルギー専門の医師と連携し、必要に応じて負荷試験などを通じて安全に進めていくのがよいと思います。
卵アレルギーは、湿疹など皮膚の状態とも関係します。アトピー性皮膚炎(AD)が疑われる場合には、積極的に治療を受けましょう。2007年の「授乳・離乳の支援ガイド」では生後5~6か月から離乳食を開始し、生後7~8か月ごろから卵黄1個~全卵は1/3与えると記載されていましたが、国内の研究でAD児に対して生後6か月から加熱鶏卵を開始した群で、1歳まで除去した群に比べて1歳の鶏卵アレルギー発症率が有意に低かったことが報告され、2019年に改定された同ガイドでは生後5~6か月で開始し、「慣れてきたら」加熱した卵黄を開始するよう記載が変更されています。
また離乳食が進まないときの対応ですが、食べない日があっても問題ないと思います。食べる量が少なくても、少しずつ食材に触れることで免疫が育ちます。無理に進めると拒否が長引く赤ちゃんもいますので、手づかみ食べなどを併用しながらペースに合わせることも大切です。
定期的に体重、身長を測定し、母子健康手帳の発育曲線や育児記録のアプリなどで成長を確認することはとても重要です。乳児期後半はたんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミンDなどの微量栄養素が不足するリスクもありますので、体重、身長の測定値の推移が成長曲線の傾きよりも低い場合には、血液検査による確認を担当の医師と相談するのがよいと思います。