妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)
Q. 妊娠14週。リンゴ病にかかりました。 (2025.12)
- (妊娠週数・月齢)妊娠4か月 (12〜15週)
妊娠14週です。妊娠10週2日に手足が赤くなり、その後、職場の保育園でリンゴ病が流行し始めたので、11週4日の日に産婦人科で検査をしたら、リンゴ病にかかっていました。その際と、13週にエコーをしてもらいましたが、「もしかするとエコーには写っていないだけかも」と言われ、心配です。胎児への影響はどういったことが考えられ、いつごろ、どんな検査をすればわかりますか? 無事に生まれても何か影響がある場合があるのでしょうか?
回答者: 安達知子先生
パルボウイルスB19の感染で、いわゆるリンゴ病が起こります。小児の感染では特徴的な頬への紅斑が生じることから、このような名前がついていますが、成人では軽度の上気道炎、筋肉痛や関節痛などの症状にとどまることや不顕性感染であることも少なくありません。
リンゴ病の流行期には、マスク、手洗いなどで妊婦が感染予防をすることが重要だといわれています。
妊婦が感染しても胎児への感染は20%程度とされ、妊娠中期(妊娠14~24週くらい)の感染で胎盤を通して児へ感染しやすいと考えられます。胎児感染が起こると、胎児に奇形をきたすことはなく、赤血球を壊して貧血(溶血性貧血)に陥る可能性があり、そのため重症貧血から胎児が心不全を起こして、その結果、胎児水腫が認められることになります。胎児水腫が明らかになるのは、母体感染から8週間以内といわれています。ウイルス感染に対しての特別な治療はなく、2週間ごとの胎児超音波検査で胎児水腫の状況を検査することになります。高度の心不全では胎児死亡をきたすことがあり、妊娠中期以降では治療として胎児輸血を行うこともありますが、一方で、胎児貧血は34%で自然緩解することも知られています。
今回は妊娠10週の感染で、胎児へ感染していない可能性もあります。妊娠18~19週くらいまで、胎児水腫をきたさなければ、そのまま正期産で出産した場合、通常はとくに胎児、新生児に何かこのウイルス感染による問題が起きることはなく、治療をする必要はありません。