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Part1 妊娠中の体重管理で知っておきたいこと

1.望ましい体重増加って?

体重は、“増えすぎ”も“増えなさすぎ”もよくありません

 日本では昔から、妊娠中の体重制限の指導に熱心です。体重制限というのは、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの予防の視点からはとても大切なことです。
 しかしいっぽうで、最近問題になってきているのは、日本の出生児の平均体重が、20年くらい前から減っており、同時に2,500g未満で生まれる赤ちゃん(低出生体重児)の率が増えているということです。そのため、赤ちゃんの発育が予想していた以上に抑制されているのではないかという心配が出てきています。
 実は、お母さんが妊娠中に低栄養になると、そのときの胎児が将来生活習慣病になりやすいという学説も、10年以上前から提唱されていて、現在では胎児の生理学者のあいだで中心的な課題になっています。ですから、妊娠中の体重増加を抑えることは、行き過ぎると赤ちゃんの発育の面ではよくないことも出てくる部分があるのではないかと思います。


「妊娠中の体重増加指導の目安」を参考にして

 では、どのくらいの体重増加がちょうどよいかということですが、妊娠前の体格や栄養状態によっても変わってきますので、出産までに何キロと、一律に言うことはできません。
 これまで、妊婦健診や妊婦雑誌などでも、「体重は増えすぎないほうがいい」という方の情報だけが強調されていて、妊婦さんを必要以上に神経質にしてしまってはいないかと思うこともあります。実際には、妊娠前の体格によっては、むしろもっと体重を増やしたほうがよい人もいるのが現状です。
 日本産科婦人科学会の提示する「妊娠中の体重増加指導の目安」(令和3年3月公表)を参考にするとよいと思います。

妊娠中の体重増加指導の目安 (注1)
妊娠前の体格 (注2) 体重増加指導の目安
低体重(やせ):BMI18.5未満 12~15kg
ふつう:BMI18.5以上25.0未満 10~13kg
肥満(1度):BMI25以上30未満 7~10kg
肥満(2度以上):BMI30以上 個別対応(上限5kg)

(注1)「増加量を厳格に指導する根拠は必ずしも十分ではないと認識し、個人差を考慮したゆるやかな指導心がける。」産婦人科診療ガイドライン編 2020 CQ 010 より

(注2)日本肥満学会の肥満度分類に準じた。

BMIの計算式…体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
たとえば体重が58kg、身長159cmの人のBMIは、58÷1.59÷1.59=22.9です
体重増加のめやすが知りたいときは、「妊娠前の身長体重」で計算します。

体重制限よりもバランスのよい食事を

 私の場合、「何㎏まで」という体重制限はあまり意味がないと考えています。妊婦さんには、「妊娠していないときと同じで、“こういうものを食べていたら理想的だな”と思える食事をしてください」と言っています。

  • 生活のリズムを整えて、バランスのよい食事を1日3回しっかり食べる。
  • やけ食いやむちゃ食いはせず、空腹感も感じるような食事のリズムを作る。

そういう生活をしていて体重が増えたのなら、それがその人にとって、ちょうどいい体重増加なのです。

【参考】

インターネット相談室のQ&Aも参考にしてください。


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