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病気・予防接種

Q. 生後6か月。睡眠中の呼吸が乱れ、乳幼児突然死症候群などとの関わりが心配です。 (2014.1)

  • (妊娠週数・月齢)6か月

生後6か月の男の子です。睡眠中の呼吸が乱れることが気がかりです。過呼吸のような呼吸をすることもあれば、何秒間か息をしないこともあります。こうした症状はもっと小さな頃からあり、小児科で相談したところ、成長すれば症状がなくなっていくだろうとのことでしたが、生後半年を過ぎたいまも改善しません。乳幼児突然死症候群との関わりも気がかりですが、何か病気が隠れている心配はありませんか。

回答者: 多田裕先生

 私たちの呼吸は規則的に行われているように見えますが、さまざまな理由で遅くなることがありますし、その後は速い呼吸や過呼吸になるなど、呼吸が乱れることは誰にでもあることです。とくに睡眠中は、呼吸がゆっくりになるだけでなく何秒間か息が止まってしまう「無呼吸」になる人もいます。

 無呼吸が十数秒から20秒ほど続く場合は「無呼吸発作」と呼ばれ、呼吸機能の働きが十分に発達していない乳児期前半の赤ちゃんでは乳幼児突然死症候群のリスクにつながることから注意が必要です。20秒ほども続く無呼吸発作が起きると、酸素不足になって心臓の拍動がゆっくりになり(これを徐脈といいます)、その状態が回復しないと脳への酸素供給が不足したり心臓が止まってしまうことがあるからです。

 20秒以下でも、酸素不足に陥ると徐脈になり、チアノーゼが出て顔色が悪くなったり唇が紫色になったりすることもあります。低出生体重児など呼吸機能の発達が未熟で酸素不足に陥る心配のある赤ちゃんを扱う産院や小児病院では、危険のある場合には「呼吸心拍モニター」をつけて無呼吸発作が起きたらすぐに対応できるよう監視し、無呼吸発作が無くなってから自宅に退院してもらっています。

 無呼吸発作は感染症や代謝異常、脳内の出血などさまざまな原因でも起こりますが、赤ちゃんに多いもののひとつが脳の呼吸中枢の働きが未熟なために起きる「中枢性の無呼吸発作」で、前述したように早産などで呼吸中枢の働きが未熟な赤ちゃんに起こりやすいものです。

 そしてもうひとつが、鼻やのど、気管などに何らかの問題があって息ができなくなるために起こる「末梢性の無呼吸発作」です。大人では、加齢などで睡眠時に舌がのどの奥に落ち込んでしまうことで気道が狭くなったり、肥満でのどや気管が圧迫されて空気が十分に入ってこない場合などに起こる「睡眠時無呼吸症候群」がよく知られていますが、子どもの場合はアデノイドなどで鼻や気管が狭くなることが原因で起こることがあります。

 さて、ご相談の赤ちゃんは生後6か月で、小さな頃から気になっていた睡眠中の呼吸の乱れが続いていることを心配されているとのこと。無呼吸が何秒ほど続いているかにもよりますが、かかりつけの小児科医から「成長すれば改善する」と言われていることから、徐脈やチアノーゼを伴う「無呼吸発作」が起きている状況ではないのだろうと思えますし、中枢性や末梢性の無呼吸発作につながる基礎疾患もないのだろうと推察します。

 生後6か月というのは、未熟だった呼吸中枢の働きがしっかりし、乳幼児突然死症候群のリスクが減る時期にもあたります。こうしたことから、あまり心配せずに赤ちゃんの成長を見守ってよいと考えます。

 ただ、ご相談の赤ちゃんの場合とは異なり、徐脈やチアノーゼを伴う15〜20秒に及ぶ無呼吸発作が起こるような場合には乳幼児突然死症候群となる恐れもあるので、赤ちゃんの呼吸が一定時間以上止まったときには(体の動きで感知します)ブザーが鳴って知らせる機能のある装置(ベッドに敷くマット)をリースで使用することも可能です。そうした心配があるときは、かかりつけの小児科で相談してみることをお勧めします。