病気・予防接種
Q. 1歳2か月。ワクチン接種後に水痘に感染し、抗体がついたか心配です。 (2014.2)
- (妊娠週数・月齢)1歳2か月
1歳2か月の男の子です。もうすぐ5歳になる姉がいます。1歳になってすぐ、MR+水痘+肺炎球菌ワクチンの同時接種を受けました。その約3週間後、姉が水痘に罹患し、下の子もその2週間後に発症しました。2人とも予防接種後だったためか軽症で済みましたが、正直、予防接種後まだ2か月だったので下の子にはうつらないことを期待していたのですが、感染してしまいました。MRの抗体がしっかりついているか不安です。念のために検査を受けたほうがよいでしょうか?
回答者: 横田俊一郎先生
水痘ワクチンを接種していても水痘にかかってしまうことは少なくありません。
『予防接種と子どもの健康』2013年度版には「約20%は後に水痘にかかることがあります」と書かれていますが、「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会のホームページには、「1回だけの接種では数年以内に約20〜50%の人が発症します」と書かれていて、実際にワクチンを打っている私の感覚からはこちらが正しいと思います。
そのため現在は2回接種が勧められていて、1回目接種後3か月〜1年で2回目の接種を受けることが基本です。もちろん、ご相談の場合のように実際に水痘にかかってしまった方は2回目の接種を受ける必要はありません。
また、新聞などでも報道されているように、今年の10月から水痘ワクチン2回の接種が定期接種になる予定です。しかし、接種方法の詳細はまだ決まっていません。
さて、ご質問のケースですが、MRワクチンを接種したあと3週間で水痘にかかってしまったので、麻しん、風しんの抗体がきちんとできているか心配だということですね。MRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンなどの注射の生ワクチンを続けて接種する場合には、接種されたウイルスが干渉しないよう4週間以上の間隔をあけて接種することになっています。
生ワクチンの接種直後に何らかの感染症にかかってしまったという相談は少なくありません。断定的なことは言えないのですが、このような場合には、生ワクチンを続けて接種するときと同じように、ウイルス干渉によって十分な抗体が産生されていない可能性を考えなくてはなりません。この場合、血液検査で抗体がきちんとできているかを調べてみるのがひとつの方法です。抗体が低ければ再度接種を行うことになります。
ご相談のお子さんは、接種後3週間経過してからの感染ですので、接種されたワクチンのウイルスも体内で十分増殖しており、抗体もきちんとできている可能性が高いと考えます。心配であれば血液検査で抗体を調べてみるのがよいでしょう。ただし、MRワクチンは小学校入学前の1年間でもう一度接種しますので、今回はおそらく大丈夫と考えて、就学前の接種まで待っていても問題はないと思います。