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病気・予防接種

Q. 1歳5か月。発熱時にけいれんを起こし、出生時のトラブルとの関連が気がかりです。 (2014.6)

  • (妊娠週数・月齢)1歳5か月

1歳5か月の男の子です。出生時に首にへその緒が巻きついており、顔中うっ血していました。医師からは何も説明がなく、後遺症がないかと看護師に尋ねたところ大丈夫だと言われました。その後の成長もとくに問題ありませんでしたが、1か月ほど前に40度近い高熱が出たとき1日2回けいれんを起こし、1週間ほど入院しました。髄膜炎の検査は異常なし(血液が混ざっていましたが)でした。脳波の検査で少し脳の右側に乱れがあると指摘されましたが、経過観察で問題なく、「熱がないときにけいれんが起きたらもう一度検査しましょう」と言われました。現在37.5度以上の熱の場合に、けいれん予防の薬を使用しています。「脳波の乱れ」を指摘され、すごく心配です。

回答者: 多田裕先生

 ご質問のけいれんや脳波の乱れについて考える前に、出生時に首にへその緒が巻きついている「臍帯巻絡(さいたいけんらく)」について説明しましょう。

 実は、お母さんの胎内で赤ちゃんの首にへその緒が巻いた状態になるのは珍しいことではなく、そのまま産道に降りて出産に至ることも少なくありません。すると、臍帯が引っ張られて首が締まったようになり脳の血液が心臓に戻れなくなるため、体の表面に近い静脈が圧迫されます。それで顔面がうっ血し、顔が紫色になったり点状に出血が見られたりすることがあります。

 しかし通常は、臍帯で首が締まったようになるのは出産直前であるうえ、臍帯による圧迫が動脈にまで及ぶことは少ないため、脳が酸素不足になって後遺症が残るような深刻な事態に陥ることはあまりありません。

 ご相談の場合も、医師からとくに説明がなく、看護師も後遺症の可能性を否定したとありますし、出生時に呼吸障害や体動(手足の動き)の悪さ、けいれんなど重い「新生児仮死」の症状があったという記載がないことから、臍帯巻絡で顔面にうっ血があっても赤ちゃんの全身に及ぶような深刻な問題は生じなかったものと推察します。加えて、その後の発育も問題がなかったのですから、出生時のトラブルが健康に悪影響を与えた可能性は非常に低いと考えます。

 次に、1か月ほど前に起きたけいれんについて考えてみましょう。高熱が出たときに起きたことや、1歳5か月という年齢から熱性けいれんの可能性が高いと思いますが、1日に2回あったことから入院して詳しい検査を受けられたのだと推察します。

 熱性けいれんとは、乳幼児が発熱時に起こすけいれんのことで、脳が未熟で熱に敏感なために起きると考えられ、後遺症などもなく予後は良好です。通常は1日に1回のことが多く、けいれんの形に左右差がなく、時間も5分以内と短いのが特徴です。そのため、けいれんが1日に複数回起きたり、左右非対称であったり、10分以上も続くような場合には、けいれんの原因となる病気が潜んでいないか検査したり、入院して経過を見守ったり、注意深く対応します。原因疾患は、細菌感染による髄膜炎、神経代謝疾患、てんかんなどさまざまで、そうした基礎疾患が見つかったときには適切な治療を行わなければなりません。

 しかし、ご相談のお子さんは入院して髄膜炎の検査や脳波などを調べて問題がなかったとのこと。とくに心配な病気や症状がなかったということですから、安心していい状態なのでしょう。脳波に少し乱れがあったとのことですが、実は、詳しい検査をすると脳波に小さな乱れが見つかるのは珍しいことではなく、健康に影響を及ぼさない場合が多いです。出生時のトラブルと結びつけて考える必要もないでしょう。

 いまは主治医の指示通り、熱が出そうなときには処方されているけいれんを抑える薬を使って予防し、成長を見守っていけばいいでしょう。多くの場合、5〜6歳になると熱性けいれんは起こらなくなります。