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発育・発達

Q. 幼稚園年長の自閉症スペクトラムの息子。担任の理解がなく転園すべきか悩んでいます。 (2014.8)

  • (妊娠週数・月齢)6歳

自閉症スペクトラムと診断された幼稚園年長組の息子について相談します。担任の先生が息子に理解がないように思え、障害児の教育に理解のある園に転園させるべきか悩んでいます。ただ、もう年長で幼稚園に通うのも半年たらず。仲良しの子はいませんが、クラスメイトの名前を覚え、園に慣れています。息子は環境の変化に弱いです。担任は、たとえば、自由遊びの時間にいまだに何をしていいかわからず指をくわえてウロウロしている息子について、もう年長なのだから自分で遊びを見つけてほしいというスタンスです。遊びの選択肢を示したり、遊びを提示したりのサポートをしてほしいと親は思いますが、サポートは必要ないとの考えです。息子に寄り添うのではなく、息子についてきてほしいようです。一定の水準を求められます。週末になると、息子はストレスからか癇癪を起こします。この時期の転園についてお考えを伺いたく思います。息子に最善の選択をしてあげたいと考えています。

回答者: 汐見稔幸先生

 悩ましいことですね。お悩みの内容について、よく理解できます。

 結論的なことを先に言います。もしも、転園希望の園に自閉症スペクトラムについて理解のある園長や先生がいて、適切に対応してくれそうだと思えれば、あと半年であっても、そちらに移ったほうがお子さんは適応しやすくなると思います。そのために役所や園を実際に訪ねて事情を率直に話して反応を確かめてください。「わかりました、大丈夫です」と言ってくれるところであれば、そちらに移ったほうがよいと思います。自分を理解してくれる人が多くいれば、短時間でもお子さんは自信を得て行動できるからです。

 しかし、近所にそうした園がなければ、たとえ移ったとしても対応はあまり変わらない可能性があります。その場合は、いまの園でもう少し、お子さんとのコミュニケーションの仕方について理解してもらえるまで粘って訴えたほうがいいと思います。

 自治体によっては、発達上の障害があることが明確な場合、その子のために園に「加配要員」を派遣してくれるようなところもあります。個別にその子についてくれる要員です。そのあたりも行政に積極的に聞くべきだと思います。この点については、医師にも相談してください。加配要員が必要かどうかは医師が決めるからです。

 それと、ご相談者が、「こうしたタイプの子どもには、原則としてこういう対応が大事」ということが書いてあるような本を探し、「専門家はこういう対応をすべきと言っている」ということを園側にきちんと伝えることもしてほしいと思います。

 幼稚園でも、自閉症タイプのお子さんへの対応の仕方を勉強しているところとそうでないところがあり、意外とわかっていないところもあるのです。ただし、その場合、まず園長など話しやすい人を探し、親がわがままを言っているのではなく、科学的根拠があることを言っているのだということを理解してもらえるよう努力してください。園は、抗議されているとか批判されていると感じると、身構えてしまいがちです。相談に乗っていただきたい、というスタンスが大事です。

 小学校入学後も、似たようなことで苦労される可能性はあると思います。そのとき、いちばんの理解者であるご両親が、お子さんに成り代わって周囲の人に「理解していただきたい」と訴え続けるようにしてください。必ず、理解してくださる人と出会えるはずです。社会全体が、少しずつそういう方向に動いていることはまちがいないのですから。