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発育・発達

Q. 1歳1か月。頭囲が11か月のときと変わらず、気がかりです。 (2014.8)

  • (妊娠週数・月齢)1歳1か月

現在、1歳1か月になった息子の発育について質問します。生後11か月のときに、自宅で頭囲を測ったところ46cmでした。先日、久しぶりに測ってみたら、まったく大きくなっていませんでした。これは正常の発育でしょうか。あるいは、何か病気が隠れている可能性はありますか。この時期の頭囲の正常な発育について、教えてください。

回答者: 多田裕先生

 頭囲の発育が正常かどうか心配なときは、まず、母子健康手帳に掲載されている「乳幼児身体発育曲線」のグラフに出生時から現在までの、乳児健診等で測定した頭囲を書き込んでみてください。このグラフには同じ月齢の94%の赤ちゃんの値が帯で示されており、この帯のなかに各月齢の値が入っていれば「標準」だと考えられます。

 ただし、頭囲は測り方によって誤差が生じやすいものだということを念頭に置いてください。厚生労働省が定めた身体計測の基準では、頭囲の測り方について、2歳未満は原則として赤ちゃんを寝かせた状態で、頭のうしろのもっとも出っ張ったところから眉の上を回した線を測ることとしていますが、赤ちゃんは泣いたり動いたりしますし、スケールの用い方によっても誤差が出やすいのです。小児科医である私が計測しても、1回の計測で正確な数値が得られているか自信がないことがあります。

 加えて、頭囲は身長や体重とは異なり数値の伸びはわずかで、短期間に1、2回測った数値で発育が順調かどうかを評価するのは困難です。心配な場合には乳幼児健診の折などに継続的に測定した値をもとに、経過を見ていくことが重要です。

 生まれつきからだ(とくに身長)の大きい赤ちゃんは当然ながら頭囲も大きいので帯の上のほうを、小柄な赤ちゃんは頭囲も小さいため帯の下方を、曲線に沿ってその子なりの伸びを示していれば順調に発育していると考えていいでしょう。

 さて、ご質問の赤ちゃんの頭囲ですが、生後11か月で46cm、1歳1か月の現在もほぼ同じ値だったとのこと。2か月も経ったのに数値に変化がなかったことで心配しておられるのだと思います。しかし、1歳前後での1か月間の頭囲の増加は平均でも0.3cm程度とわずかであり、前述したように頭囲は測り方によって誤差が生じます。この赤ちゃんの頭囲はいずれも発育曲線に照らして標準の範囲内ですし、他の発育の気がかりなどについて記述もないことなどから、病気などの心配はないものと考えられます。

 参考までに、頭囲が問題となる場合についてお伝えしますと、発育曲線に数値を書き込んでそれを結んだとき、帯に沿っていくのではなく、上や下に大きく外れていくときは注意が必要です。

 赤ちゃんの頭がどんどん大きくなるとき、もっとも心配される病気は水頭症です。脳室の中の髄液がうまく吸収されず、脳室に溜まってしまうため頭が大きくなっていく病気で、適切な治療を行わないと脳が圧迫されて萎縮してしまうことがあります。

 また、頭が小さいときに心配されるのは、脳そのものの発育が悪い場合と、頭蓋骨の縫合部分が閉じているため脳の発育に応じて頭が大きくなれない場合とがあります。本来、赤ちゃんの頭蓋骨は脳の発育とともに大きくなっていくよう、縫合が完全に閉じていない状態で余裕があります。その骨と骨の継ぎ目がすべて閉じた状態だと脳の発育を阻害してしまいますし、一部が閉じていると頭がいびつな形になってしまいます。

 いずれにしても、頭囲の発育は時間的な経過を見ていくことが重要で、継続的な数値の変化に気がかりがあったり、頭の形が極端にいびつになっていくときには、念のために病院で検査してもらう必要があります。