発育・発達
Q. 完全母乳の4か月児。健診で皮膚が黄色いことを指摘されました。 (2014.8)
- (妊娠週数・月齢)4か月
生後4か月の子を完全母乳で育てています。健診で子どもの皮膚の色が黄色いことを指摘され、βカロテンの摂取を控えるようにと言われました。私は過去に野菜ジュースの過量摂取による柑皮症を指摘され、10年間βカロテンの摂取量に気をつけてきましたが、手はまだ少し黄色です。10年も前の過量摂取が母乳に影響することはあるのでしょうか。もしもそうなら、いっそ緑黄色野菜などのβカロテンをほとんど摂らないほうがいいのでしょうか。子どもは新生児黄疸で光線療法を受けていますが、その名残で黄色いことと区別がつくのでしょうか。
回答者: 横田俊一郎先生
βカロテンは植物に豊富に存在する赤橙色色素のひとつで、ビタミンAの前駆体です。βカロテンなどのカルチノイド色素を過剰に摂取することにより、色素が皮下に沈着してミカンの皮のように黄色になることから、このような状態を「柑皮症」とも呼んでいます。黄疸も皮膚が黄色になりますが、黄疸は白目が黄色になるのに対し、柑皮症では白色のままであることで区別できます。
βカロテンはビタミンAの前駆体なので、皮膚が黄色くなるとビタミンA過剰症が心配になりますが、ビタミンAは必要な量以上のものは尿として体外に排泄されるので過剰症は起こらないことがわかっています。皮膚の黄色はβカロテンの摂取を控えればすぐに改善しますし、皮膚が黄色いことが身体に悪影響を与えることもありません。
母乳が原因で乳児が柑皮症になることは多くはありませんし、また、なったとしても乳児に問題が起こることもありません。ご相談のお子さんでは、お母さんがβカロテンの摂取を控えているということで、母乳が原因で柑皮症になっているとは考えにくいです。また、10年も前の過量摂取が母乳に影響することもありえないと思います。
黄疸は、母乳栄養のお子さんでは2か月くらいまでは続きますが、4か月まで黄疸が続くことはまずありません。白目が黄色になっているかどうかである程度判断できますが、迷うときには血液検査でビリルビンの値を検査すれば、黄疸の有無ははっきりわかります。
このように考えてくると、ご相談のお子さんの皮膚が黄色いのは柑皮症でも黄疸でもなさそうだということになります。日本人は黄色人種ですので、皮膚の色はもともと黄色がかっています。色白のお子さん、貧血があるお子さんでは黄色っぽく見えることもよくあります。もう一度、かかりつけの小児科医に相談してみてはいかがでしょうか。