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病気・予防接種

Q. MR・ヒブ・肺炎球菌ワクチンの同時接種後に発熱し、効果や副反応が気がかりです。 (2014.9)

  • (妊娠週数・月齢)1歳1か月

1歳1か月の子です。先日、MRとヒブ、肺炎球菌のワクチンを同時接種しました。このとき、接種前の体温がすでにいつもより高めでした。接種した翌日の早朝に38.8℃の熱が出て、かぜと診断されました。高熱が2日間続いたあと、落ち着いた頃から軽く発疹が出て、解熱後3日目にせきとくしゃみが出て診察を受けたところ、「のどが赤い」と言われました。突発性発疹は2か月前にやっていましたが、2回目ではないかと言われました。突発性発疹で熱の上がりはじめに予防接種をしてしまったのではないかと思いますが、予防接種の効果に影響がありますか? また、MRワクチンの副反応で熱や発疹が出ることもあるそうですが、副反応ではないでしょうか。

回答者: 横田俊一郎先生

 ご相談のような事例はときどきあって、私たち小児科医も悩むことがありますが、一般的な見解について説明したいと思います。
 まずMRワクチンの副反応の可能性についてですが、MRワクチンの発熱や発疹といった副反応は接種後5〜14日、とくに7〜12日を中心として現れます。MRワクチンは生ワクチンなので、接種したワクチンのウイルスがからだの中で増え、それが最大になったときに麻しんや風しんのような症状が出るわけです。つまり、ある程度の潜伏期間のようなものが必要なので、接種直後から出た熱がMRワクチンのために起こったとは考えにくいのです。また、このような副反応が出たとしても異常なことではありませんので、次の接種のときなどにとくに気をつけなければならないことはありません。

 一方、ご相談のお子さんはヒブ、肺炎球菌のワクチンも同時に接種しています。肺炎球菌ワクチンは接種後すぐに熱が出ることが比較的多いので、この発熱が肺炎球菌ワクチンと関係があった可能性は否定できません。ただし、肺炎球菌ワクチンによる発熱はほとんどが1日以内に解熱します。

 次に、病気のときにワクチンを接種したらどうなるかという問題を考えてみます。ご相談のお子さんが突発性発疹であったかどうかは私には判断できません(夏かぜの可能性もあるかもしれません)が、一般的にかぜなどのありふれた軽症の病気にかかったときにワクチンを接種した場合の問題についてお話します。
 ヒブや肺炎球菌、四種混合などの不活化ワクチンについては、接種後すぐに病気にかかっても抗体の獲得についてはほぼ影響はないとされています。

 一方で、MRワクチンのような生ワクチンは影響を受ける可能性があります。それは、接種直後に他のウイルスによる感染が起こると、干渉現象が起こってワクチンのウイルスが増殖できず、十分な抗体が獲得できない可能性があると考えられるからです。
 ウイルスの種類によっても異なるのですが、結論から言うと、個々の例について抗体が獲得できたかできないかは断定できず、検査で抗体を測ってみなくてはわからないということになります。このことについてはたくさんの論文があるのですが、多くの論文は抗体獲得には大きな差はなかったと結論づけています。

 米国では多少の発熱があっても全身状態が悪くなければ予防接種が行われているという現実もあります。また、MRワクチンは就学前にもう一度接種の機会がありますので、今回十分な抗体が獲得できなくても、もう一度チャンスがあるわけです。
 心配なら血液検査で抗体を調べておくのもよいでしょうし、このまま何もせずに済ますということでも問題はないと思います。